Zenmov、フィリピン初となるスマートモビリティーの実証運行開始

(フィリピン、日本)

マニラ発

2024年09月13日

スマートモビリティーシステムの開発を行う日系スタートアップ企業Zenmovは9月10日、フィリピン・マニラ首都圏北西部のニュークラークシティーで、同国初となるスマートモビリティーの実証運行を開始した。このプロジェクトは、日本の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の一環で、同社が実施するものだ。

同プロジェクトでは、同社のクラウド型公共交通運行管理システム(SMOC、注1)をクラーク地域全域(注2)に導入し、SMOCを搭載した小型のEVバスや電動アシスト自転車、自動運転EV車両などを運行させる。今回のスマートモビリティーの実証運行を通じて、輸送の効率化や交通渋滞の緩和、脱炭素化を図る。プロジェクトは、フィリピン基地転換開発公社(BCDA)と現地企業MC Metro Transport Operation Inc.(MMTOI)と連携し、同国初のスマートシティー実現を目指す新たな交通システムの構築に取り組む。

同日に開催された運行開始式典では、Zenmovの田中清生代表取締役社長がプロジェクトに関するプレゼンテーションを行ったほか、SMOCを搭載した小型EVバスや自動運転EV車両などの実証運行、試乗も行われた。

写真 運行開始式典のテープカット(ジェトロ撮影)

運行開始式典のテープカット(ジェトロ撮影)

写真 実証運行に使われる自動運転EV車両(ジェトロ撮影)

実証運行に使われる自動運転EV車両(ジェトロ撮影)

写真 実証運行に使われる小型EVバス(ジェトロ撮影)

実証運行に使われる小型EVバス(ジェトロ撮影)

式典に参加したフィリピン基地転換開発公社(BCDA)エグゼクティブ・バイス・プレジデントのジセラ・カラロ氏は、JR東日本研究開発センターのフロンティアサービス研究所が東京駅で実施する歩行で生じる振動のエネルギーを利用する床発電システムの実証実験や、再配達を防止してトラックなどから排出される二酸化炭素(CO2)による地球環境の負荷削減を目指す神奈川県藤沢市の「低炭素物流」の取り組みを紹介した。

その上で、同氏は「最も成功している都市は、伝統的な交通システムからスマートモビリティーシステムに移行することで、恩恵を受けている。私たちは、クラウドを活用したスマートモビリティー技術を導入することで、先進的かつ革新的な交通システムをニュークラークシティーで実現できる。交通渋滞を減らし、グリーンな低炭素社会を促進することで、私たちの日々の生活はますます良いものに変容していくだろう」と期待を述べた。

(注1)SMOCとは、Smart Mobility Operation Cloudの略で、事業者に対してITを活用したモビリティーサービスを提供するシステムのこと。乗客や運転手、運行管理者が使えるアプリケーションや、人工知能(AI)を活用したデータサーバー機能などがある。

(注2)クラーク地域全域とは、ニュークラークシティーとクラーク経済特区周辺のことを指す。

(中村和生)

(フィリピン、日本)

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