スペイン政府、ハンガリー企業によるスペイン鉄道メーカー買収を不承認

(スペイン、ハンガリー、EU)

調査部欧州課

2024年08月30日

スペイン政府は8月27日、ハンガリーの企業連合ガンツ・マーバグ・ヨーロッパ(Ganz MaVag Europe)による、スペインの鉄道メーカーのタルゴへの6億1,900万ユーロの買収提案を、国家安全保障上の懸念から承認しないと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、スペイン語)。ハンガリーは、ウクライナ侵攻中にもかかわらず、ロシアと緊密な関係を維持しているとしてEU加盟国から非難されている。

タルゴについては、株式100%に対する公開買い付けが予定されていた。スペイン経済・商業・企業省は今回の決定について声明で、スペインの外国投資規制を適用し、EU法にも整合するものと説明したが、EU企業に対する措置としては異例とみられる。

声明では、「国家安全保障と公共の秩序に対するリスク」があると述べたが、決定の根拠となった分析については「機密扱い」だとして明らかにしなかった。スペインの鉄道網に関する情報を把握するタルゴは、政府にとって「スペインの経済安全保障、地域統合、産業発展にとって重要な部門を担う戦略的企業」と表現した。

現地報道によると、ガンツ・マーバグ・ヨーロッパはハンガリーのオルバーン・ビクトル首相が支援する企業連合。今回の決定は、重要な鉄道インフラに対するロシアからの潜在的な脅威を警戒したものなどと報じられている。

(江里口理子)

(スペイン、ハンガリー、EU)

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