第2四半期のGDP成長率は前期比でマイナス0.2%

(ハンガリー)

ブダペスト発

2024年08月05日

ハンガリー中央統計局は7月30日、2024年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同速報値によると、前年同期比で1.3%(季節調整済み)となったものの、前期比ではマイナス0.2%だった。前期比でマイナス成長となったのは、過去2年間で4回目。中央統計局は、経済全体に大きな比重を占める工業付加価値の減少によって経済成長が鈍化したと指摘した。

国家経済省は同日の発表で、「予想を下回るデータは外部要因によるもので、欧州市場、とりわけハンガリーにとって最も重要な対外市場であるドイツ経済の低迷により、輸出、特に工業製品の業績が低迷していることが景気回復の足かせとなっている」とした。

ナジ・マールトン国家経済相によると、外部環境の悪化は主に2つの要因に起因するという。まず、近隣諸国における戦争の長期化によって、経済や開発から資金を奪うかたちになっている。他方、エネルギー価格の高騰と、米国と中国による保護主義的措置によるEUの競争力低下が挙げられる。特に競争力低下に関しては、電気自動車(EV)普及の良好なトレンドが崩れたことにも苦言を呈した。ハンガリーはEVこそが欧州産業の未来であるとの立場を崩しておらず、市場保護主義や懲罰的関税ではなくEUレベルでの支援が必要と強調した。

ナジ国家経済相は、ハンガリー政府は2025年までにGDP成長率4%を達成することを引き続き確信しているが、それにはウクライナ戦争の終結が条件、と付け加えた。

報道によると、当地の経済アナリストも、マイナス成長は外部要因(欧州経済の低迷、EV普及の減速など)によるところが大きいと、政府と同様の見解を示している。他方、家計消費が引き続き慎重であることも要因の1つとみている。「輸出の低迷により産業は衰退しており、消費の回復が遅れているため、一部のサービス業には真の推進力がない」と総括している。

今後の展望として、5月の実質賃金が10%程度上昇したことで、最終的に家計消費を押し上げることが期待されている。小売売上高はすでにその兆しを見せており、5カ月連続で前年同月比での増加を続けている。また、観光業も堅調な伸びを示し、過去最高の業績を上げている。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー)

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