ネステ、バイオ原料繊維のサプライチェーン構築、日系企業と連携

(フィンランド、日本)

ロンドン発

2024年07月18日

フィンランドの再生可能燃料メーカーのネステは7月4日、日系企業を含む5カ国7社からなるコンソーシアムにより、持続可能なポリエステル繊維のサプライチェーンを構築、ザ・ノース・フェイスの製品に採用することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社の「Neste RE」を原材料の1つとして使用する。「Neste RE」は化石原料の代わりに、再生可能およびリサイクルした使用済み食用油などのバイオベースの材料やプラスチック廃棄物を使用することで、温室効果ガス(GHG)排出量85%以上の削減が実現する。

このプロジェクトは、スポーツ用品メーカーのゴールドウインがプロジェクトオーナーを務め、三菱商事、千代田化工建設、SKジオセントリック(韓国)、インドラマ・ベンチャーズ(タイ)、インディアグリコールズ(インド)、ネステによりコンソーシアムを構成する。

今回製造する繊維は、ゴールドウインが日本で展開するブランド、ザ・ノース・フェイスのスポーツユニフォームなどへの採用が2024年7月中になることが計画されている。

フィンランド政府は2022年4月に「バイオエコノミー戦略2022-2035:持続可能な高付加価値化に向けて」を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。2035年までにバイオエコノミーの付加価値を2倍にすることを目標として掲げ、特に繊維産業、製薬産業、電池材料に関して、新しいバイオベース製品の開発・利用を重点化していくと強調している。同戦略では、繊維産業の最も一般的な原材料は石油から生産されるポリエステルで、世界全体のGHG排出量では、海運と航空輸送を合わせた量よりも繊維産業が多いと指摘。その上で、バイオベースや廃棄物ベースの新しい繊維の開発は、フィンランドが大きな輸出ポテンシャルを持ち、世界的に重要な研究開発分野と位置付けた。

また、フィンランド国立技術研究センター(VTT)は、バイオベースの原材料とスマートテクノロジーの分野の専門性はフィンランドの強みとする分野で、繊維業界の改革により、推定12億ユーロの投資誘致と約1万7,000人の新規雇用創出につながると予測している。

(松丸晴香)

(フィンランド、日本)

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