ルーマニアの小型モジュール式原子炉事業、基本設計の第2フェーズへ

(ルーマニア、米国、日本)

ブカレスト発

2024年07月26日

ルーマニア国営原子力企業ヌクレアエレクトリカは7月24日、米国ニュースケール・パワーがルーマニアで進める小型モジュール式原子炉(SMR)事業に関する基本設計(FEED)第2フェーズ契約を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。契約はヌクレアエレクトリカのSMR事業会社ロパワー・ニュークリアと米国エンジニアリング企業フルオールとの間で結ばれた。FEED第1フェーズは米国貿易開発庁(USTDA)、米国務省、ルーマニア政府、ニュースケール・パワーから資金提供を受け、2023 年下期に完了した。第2フェーズでは事業の最新のコスト見積もりや建設日程を得るほか、最終的な投資決定に必要とされる安全性評価分析などを行い、2029年の完成に向けた移行ステージとなる。

契約の調印式は、米国エネルギー省(DOE)が主導し、中・東欧諸国が加盟する大西洋横断エネルギー気候協力パートナーシップ(P-TECC)のブカレスト閣僚会合(7月23~24日開催)で行われた。DOEのジェニファー・グランホルム長官、米国務省のボニー・ジェンキンス国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)、USTDAのエノー・エボン局長、ルーマニアのセバスティアン・ブルドゥージャ・エネルギー相らが立ち会い、世界的なエネルギー転換での事業の戦略的重要性が強調された。

ヌクレアエレクトリカによると、ルーマニア南部ドイチェシュティに建設予定のSMR発電所では常時200人、建設段階で1,500人、生産段階で2,300人の雇用創出が期待される。年間400万トンの二酸化炭素(CO2)排出量を削減する見込みだ。同プロジェクトを実施するニュースケール・パワーには、日揮ホールディングス、IHIも出資しており、同2社が出資するために設立した特別目的会社経由で、国際協力銀行(JBIC)も約1億1,000万ドルを出資している。

(高崎早和香)

(ルーマニア、米国、日本)

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