第1四半期GDP成長率は前期比0.9%、景気後退を脱却
(アイルランド)
ロンドン発
2024年06月21日
アイルランド中央統計局(CSO)の6月6日付発表によると、同国の2024年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率は前期比0.9%だった(第1次暫定値)。2022年第4四半期(10~12月)から5期連続のマイナス成長で景気後退の状況が1年以上続いたが、ようやく脱却したかたちとなった。
第1四半期のGDP成長率(前期比)を需要項目別にみると、家計最終消費支出は0.6%増と拡大した一方、政府最終消費支出は1.1%減だった。国内総固定資本形成は前期に64.4%増と急伸したものの、無形資産への投資減少を反映して、当期は反動減で40.6%減と、再び大幅に減少した。輸出は7.3%増、輸入は6.3%減となり、輸出の伸びがGDP成長率に寄与した。
産業別では、専門・管理・サポートサービスは前期比6.7%増、流通・運輸・宿泊・飲食は0.9%増、不動産は0.1%増で、成長率を押し上げた。一方、製造は6.5%減、建設は4.9%減、金融・保険は3.7%減、農林水産は2.1%減だった。
アイルランドのGDPでは、外資系企業の活動に関連する財、サービスの輸出、輸入が占める割合が非常に大きいが、ともに国内経済への影響は小さいことから、輸出、輸入を除いた国内総需要(TDD)の方が正確な国内経済状況を反映するとされている。統計局はTDDからさらに、国内経済への影響が小さい外資系企業の大規模な取引を除外した修正国内需要(MDD、注)を、国内需要を表す重要な指標と位置付けている。2024年第1四半期のMDDは1.4%増となっている。
経済社会研究所(ESRI)は3月27日、MDDが2024年は2.3%、2025年は2.5%成長する予測を発表している。その要因として、2023年に需要が低下した貿易関連産業が改善する見込みであることと、インフレ率が低下傾向にあることから、国内経済が今後2年間で緩やかに成長する見込みであることを挙げている。
(注)TDDからリース会社が購入した航空機や知的財産(IP)などの投資を除外している。
(松丸晴香、尾関康之)
(アイルランド)
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