スロバキアにおける欧州議会選挙で親EUの国政野党が勝利、極右の台頭も

(スロバキア、EU)

プラハ発

2024年06月12日

スロバキアで6月8日に投票が行われた欧州議会選挙(スロバキアの割当議席数15議席)で、親EUで最大野党のリベラル政党「プログレッシブ・スロバキア(PS)」が得票率27.8%で勝利した(添付資料表参照)。獲得議席数は6だった。前回(2019年)は「SPOLU(「共に」の意) - 市民民主主義」との連合で臨み、4議席獲得した。

国政で連立政権を担う3党のうち、ロベルト・フィツォ首相率いる最大与党「方向党-社会民主主義(Smer-SD)」は、得票率24.8%で2位にとどまった。2023年10月に実施されたスロバキア議会選挙(2023年10月4日記事参照)と同様に、ナショナリズム色の強いSmer-SDと2023年10月まで欧州議会副議長を務めたミハル・シメチカ党首が率いるPSとの争いとして注目されたが、今回、軍配はPSに上がった。ただしSmer-SDの獲得議席数は、前回から2議席増えて5議席となった。

Smer-SDの国政での連立パートナーである2党は、「声-社会民主主義(Hlas - SD)」が得票率7.2%で1議席獲得にとどまり、「自由と連帯(SaS)」は得票率4.9%で議席獲得に至らず、2議席を失った。

一方、得票率12.5%でSmer-SDに次ぐ3位を占め、2議席を獲得したのが、国政で議席を持たない新興勢力「共和国(Republika)」だ。不法移民対策の強化、EUが推進するグリーン・ディールへの反対のほか、LGBTコミュニティー支援の反対などを掲げる同党は、国会議員を経て欧州議会議員になったミラン・ウフリーク氏が、2021年に極右の「コトレバ  ―人民党・我々のスロバキア(L'SNS)」から独立して結成した政党だ。

今回の投票率は34.4%で、前回の22.7%を大幅に上回り、欧州議会選挙の投票率としては過去最高を記録した。ただし、欧州議会の速報によると、EUの平均投票率は51.0%で、スロバキアは5番目に低い投票率となっている。

スロバキアでは、5月15日にロベルト・フィツォ首相が銃撃され、重傷を負う事件が発生した。翌16日にズザナ・チャプトバー大統領とペテル・ペレグリニ次期大統領が、政治家に対して、言動をコントロールするよう呼びかけた。PSは内閣の施策に対する反対デモを中止したほか、スロバキア議会は同月21日に、首相への銃撃を糾弾すると同時に、政党、メディアなどに対して、扇動的な言動を慎むよう呼びかける決議案を採択した。

(中川圭子)

(スロバキア、EU)

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