アイルランドの欧州議会選、連立与党の中道右派2党が首位
(アイルランド、EU)
ロンドン発
2024年06月21日
アイルランドの欧州議会選挙が6月7日に実施され、14議席を争った結果、サイモン・ハリス首相率いる中道右派の統一アイルランド党(フィナ・ゲール)〔欧州議会所属政党(以下同):欧州人民党(EPP)〕が得票率20.8%で勝利した。しかし、得票率は前回比8.8ポイント減少し、獲得議席数については前回(2019年)同様、4議席だった。僅差で2位となったのはミホール・マーティン副首相率いる連立与党の中道右派の共和党(フィアナ・フォイル)〔欧州刷新(Renew)〕で得票率20.4%(前回比3.9ポイント増)。前回より3議席増の4議席を獲得した。左派のシン・フェイン〔欧州統一左派・北欧緑左派連盟(Left)〕については、得票率は前回比微減の11.1%だあったものの、議席を1つ伸ばして2議席となった。労働党〔社会・民主主義進歩連盟(S&D)〕と独立アイルランド党〔所属未定〕はそれぞれ1議席を獲得し、残り2議席は無所属議員が獲得した。緑の党は前回から2議席を失い、議席獲得はならなかった。
シン・フェインは議席を増やしたものの、得票率は統一アイルランド党、共和党の2政党の約半分と苦戦した。その背景として、同党が注力する住宅供給対策よりも、移民問題を最大の懸念事項と考える有権者が増えたためと指摘する報道もある(「ロイター」6月14日)。
地方選でも連立与党が圧勝
同日行われた地方選挙(31自治体、949議席)では、連立与党の統一アイルランド党と共和党がそれぞれ前回比で議席を減らしながらも、245議席、248議席を獲得して圧勝した。野党のシン・フェインは世論調査での支持率が一時約3割を記録したこともあり、期待が高まっていたが、直近の調査では低下し、結果も102議席と振るわなかった。報道では、背景として、過剰に候補者を擁立したことで、票が割れたことなどが指摘されている。
統一アイルランド党、共和党とともに連立政権を組む緑の党も、前回比26議席減の23議席と苦戦した。
今回の2つの選挙での不振を受け、緑の党のイーモン・ライアン党首とキャサリン・マーティン副党首は6月18日、辞任を表明した(「RTE」6月18日)。
(松丸晴香、尾関康之)
(アイルランド、EU)
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