英国、2030年までに国防費を対GDP比2.5%まで増額

(英国、ポーランド、ウクライナ)

ロンドン発

2024年05月10日

英国のリシ・スナク首相は4月23日、ポーランドのワルシャワを訪問し、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長と会談した。この会談で、スナク首相は英国の国防費を段階的に引き上げ、2030年までに対GDP比2.5%とすると表明した。今後6年間で総額750億ポンド(約14兆5,500億円、1ポンド=約194円)を追加拠出、これにより2030年の国防費は総額870億ポンドになると予測される。

スナク首相は、ロシアや中国、イランなどが民主主義を脅かし、国際秩序を書き換えようとしていると指摘。それらの国々が自国の軍隊やサイバー能力などに多額の投資を行っていることは、英国民だけでなく、汎(はん)ヨーロッパ、全世界の人々にとっても直接的な脅威になるとし、抑止に向けたさらなる行動が必要とした。また、欧州は現在、安全保障の転換点にいるとして、同盟国にもさらなる行動を呼びかけた。

国防費については、防衛産業の強化、英国の軍事能力の近代化、ウクライナの防衛支援の3点を注力分野として挙げている。防衛産業の強化については、今後10年間で新たに100億ポンドを投じ、次世代軍需品の迅速な生産や備蓄能力を確保。軍事能力の近代化については、防衛調達の抜本的な改革に取り組むほか、防衛イノベーション庁(DIA)を新設。最低でも国防費の5%を研究開発に投じるとしている。

ウクライナの支援については、5億ポンド規模の軍事援助を追加で拠出することを発表。これにより英国の2024年度の対ウクライナの軍事支援は30億ポンドに達するとした。

翌24日には、ジェレミー・ハント財務相がウクライナの首都キーウで、ボロディミル・ゼレンスキー大統領とセルヒー・マルチェンコ財務相と会談。ウクライナに対する支援について、必要な限り現在の水準を維持することを確認している。

(チャウジュリー・クリシュナ)

(英国、ポーランド、ウクライナ)

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