米イート・ジャスト、シンガポールで培養肉入り代替鶏肉の常時販売を開始
(シンガポール)
シンガポール発
2024年05月27日
米国のスタートアップであるイート・ジャストは5月16日、シンガポール都心部の精肉専門店フーバーズ・ブッチャリーで、細胞培養肉(以下、培養肉)と植物由来の素材を組み合わせた代替鶏肉「グッド・ミート3」の小売りを始めた(5月15日同社発表)。培養肉を含む商品が、飲食店での予約販売ではなく、消費者向けに常時販売されるのは同国で初めてとなる。
グッド・ミート3(重量:120グラム)の小売価格(消費税別)は、7.2シンガポール・ドル(約835円、Sドル、1Sドル=約116円)で、同精肉店の冷凍品コーナーで販売されている。1パッケージ当たりの製品に含まれる培養鶏肉の割合は3%で、残りは小麦、大豆など植物由来の素材だ。同社は「植物由来のたんぱく質に混ぜる培養鶏肉の割合を少なくすることでコストを抑えた」と述べた。培養肉の本格的な商業販売にあたっては、高い製造コストが課題の1つとなっている。
シンガポール食品庁(SFA)は2019年11月、世界で初めて培養肉を含む新規食品(ノベルフード)の規制の枠組みを導入し、2020年1月にイート・ジャストの培養鶏肉の一般向け販売を世界で初めて承認した。同社は2023年1月から12月まで、フーバーズ・ブッチャリー内のレストランで、培養鶏肉を不定期に予約販売していた。今般、培養鶏肉入り商品の常時販売を開始した同社だが、シンガポールで予定していた培養肉の製造施設兼研究開発(R&D)施設の稼働は延期している(2024年3月29日付地域・分析レポート参照)。
このほか、SFAは2024年4月、オーストラリアのスタートアップであるバウ(Vow)が開発した培養うずら肉の販売を承認した。同社は現在(5月時点)、培養うずら肉「フォージド・パルフェ(Forged Parfait)」を、都心部の高級レストランで予約販売している。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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