2022年中間選挙では高齢者、白人、高学歴者、中高所得層の存在感が増大、米国勢調査局報告

(米国)

ニューヨーク発

2024年05月08日

米国勢調査局は4月23日、2022年11月に行われた米議会選挙(中間選挙)の投票結果に関する報告書を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(注1)。それによれば、年齢別では65歳以上、人種別では白人、学歴別では学士号以上、所得階層別では10万ドル以上の家計が全投票者の中で存在感を増していることなどが明らかになった(注2)。

年齢や人種など属性別にそれぞれ投票年齢人口(有権者)に占める投票者のシェアを算出し、両シェアの差(有権者-投票者)を求める手法を用いて、その属性集団(65歳以上、白人など)が全投票者の中で過大に存在(シェアの差がプラスの場合)、あるいは全投票者の中で過小に存在(同マイナスの場合)するのかを評価した。その結果、2022年の中間選挙では次の特徴がみられたと分析している。

  • 非ヒスパニック系白人で、学士号以上の学歴取得者、あるいは65歳以上の集団がそれぞれ投票者の中で過大に存在。
  • 65歳以上の集団は投票者の中で過大(プラス6.7ポイント)に存在し、かつ全投票者の30.4%、全有権者の23.8%を占めた。一方、18歳から29歳の投票者は過小(マイナス7.9ポイント)に存在し、かつ全投票者の11.7%、全有権者の19.6%を占めた(注3)。
  • 非ヒスパニック系黒人の投票者は過小(マイナス1.6ポイント)に存在し、その数値は過去3回の中間選挙よりも過小となっている。ただ、州レベルでは状況は異なる。
  • 年間所得10万ドル以上の家計の集団は、投票者の中で過大(プラス8.3ポイント)に存在し、かつ全投票者の45.0%、全有権者の36.7%を占めた。

報告書によると、2022年中間選挙の期日前投票あるいは郵便投票の割合は49.8%で、前回の2018年より10.0ポイント増加した。同期間に、年齢層、人種、学歴を問わず、これら方法のいずれかまたは両方を使用して投票した者の割合が増加したとしている。

また、中間選挙で投票しなかった登録有権者(3,720万人)に関しては、その理由として、「忙しすぎる」または「スケジュールの重複」と答えた人の割合が最も高かった(990万人)。全有権者のうち、投票登録していない人(3,250万人)については、その理由として、選挙への無関心(1,330万人)を挙げる傾向が最も高かった。

今回の調査結果から、2022年11月に行われた中間選挙では、実際の投票において65歳以上のシニア層、白人、学士号以上の高学歴取得者、年間所得10万ドル以上の家計といった属性集団や、期日前投票あるいは郵便投票の存在感が増しているといった特徴が明らかになった。連邦議員のみを選挙対象とする中間選挙とは範囲が異なることから、単純比較はできないが、2024年11月に予定される大統領選挙においても同様の傾向がみられるのか注目される。

(注1)米国勢調査局は1964年以来、投票と有権者登録のデータを収集しており、2年ごとに調査を実施。

(注2)全体の投票率は52.2%と、2018年の前回中間選挙(53.4%)を下回った。

(注3)報告書では、州レベルでの違いも検証している。例えば、ウィスコンシン州では、有権者の21.2%が18歳から29歳で、この年齢層の投票者が過小に存在するとした全体の傾向とは異なる。

(米山洋)

(米国)

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