フレックスタイム制の改正、月間労働時間160時間に引き上げ
(サウジアラビア)
リヤド発
2024年05月27日
サウジアラビアの労働・社会発展省は5月19日省令(アラビア語)で、1つの企業で雇用されているフレックスタイム対象の労働者(注1)に対し、労働可能時間を月間95時間から月間160時間まで引き上げる決定を発表した。
また、今回の改正で、1カ月の労働時間が95時間を超える場合は時間外労働としてみなすことも同時に発表された。時間外労働に対する賃金は、労働者と雇用者双方の同意により、雇用契約で合意された基本時給に準ずるが、時間外労働を含む月間の労働可能時間が160時間を超えないことが条件となる。
この改正は、ニタカート・プログラム(2019年12月6日記事参照)にも影響があり、フレックスタイム対象の労働者が合計160時間の労働が完了した場合、雇用した事業所に対して、カテゴリー設定に必要となるポイントを満点として算出されることになった。
同規則の改正は、雇用機会の創出、賃金が時間給となる柔軟な契約規制による収入の増加、採用コストの削減など、労働者と企業双方にとって魅力的な点が多く、同規則の恩恵を受けたサウジアラビア人は、同制度発足以来、男女合わせて3万5,000人を超えている(5月20日付「サウジ・ガゼット」)。企業は、同省が提供するサービス(Flexible work(contract documentation)Mrn)に労働内容を登録し、アブシャ(Absher)(注2)を通じて労働者のデータを確認したり、労働者本人がポータルサイトに登録した個人ファイルを検索したりすることにより、最適な候補者を選別することができる。本規則を利用できるのはサウジアラビア国民のみとなっている。
(注1)パートタイム労働者。1つまたは複数の企業での労働。賃金は時間給で計算される。
(注2)政府のさまざまなサービスを利用できるデジタルプラットフォーム。
(平田若菜)
(サウジアラビア)
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