新憲法制定に向けた3回の国民投票の実施案を閣議承認

(タイ)

バンコク発

2024年05月09日

憲法改正に当たって3回の国民投票を実施する提案が4月23日に閣議承認外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。当該提案は、憲法改正の国民投票を調査する政府パネルが提出した。筆頭与党のタイ貢献党は、国民から選ばれた制憲議会議員による新憲法の制定を2023年5月の選挙の公約として掲げており、その実現に向けての一歩となる。

政府パネルの提案によると、1回目の国民投票では、一般条項と王室に関する1章、2章(注)を修正せずに新憲法を起草することの是非を国民に問う。過半数が賛成した場合、2回目の国民投票では、新憲法の起草に当たって制憲議会を設置するために必要となる憲法256条(憲法改正に関する規則、手続き)の修正について是非を問う。これに過半数が賛成した場合、新憲法が起草された後に3回目の国民投票を実施し、新憲法の制定の是非を問うことになる。

内閣はまた、憲法改正を実施しやすくするよう、2021年国民投票法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを改正する提案も4月23日付で承認している。現行法では、憲法改正を実施するには、3回目の国民投票で有権者の過半数が投票し、かつ投票者の過半数が憲法改正の同意に投票していなければならず、厳しい条件となっているが、当該条件が緩和されるもようだ。

チャイ・ワッチャロン政府報道官によると、1回目の国民投票は7月21日から8月21日まで実施され、国民投票の実施には32億バーツ(約134億4000万円、1バーツ=約4.2円)の費用がかかる見込み(4月23日タイ公共放送PBS)。

(注)タイ国憲法1章で、タイは国の長としての王と政府による民主形態の下、1つの不可分な王国と記載されている。同2章では王の特権にかかる条項を規定している。

(ピンラウィー・シリサップ、藤田豊)

(タイ)

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