日・パラグアイ・ビジネスフォーラム開催、投資環境上の強みを説明

(パラグアイ、日本)

ブエノスアイレス発

2024年05月10日

パラグアイの首都アスンシオン市で5月3日、パラグアイ日本商業会議所、商工省、在パラグアイ日本大使館主催の日・パラグアイ・ビジネスフォーラムが開催された。パラグアイ政府と進出日系企業がパラグアイへの投資環境上の強みや課題を発表した。

ロドリゴ・マルフ商工副大臣は冒頭、パラグアイでの外国直接投資はEU、米国、ブラジルからが中心で、日本の投資は投資額全体の1%にすぎないが、これを増やすことに挑戦したいと述べた。日本の投資は自動車部品産業に対するものが中心だが、ブラジル市場のニアショアリングの重要性が高まる今、自動車部品産業へのさらなる投資を呼びかけた。

パラグアイの強みとして、商工副大臣は安定したマクロ経済を挙げた。80年間1度も現地通貨グアラニのデノミネーションを行っていないことや、2024年の為替レートが2002年と変わらずに物価が安定していることは、安定した経済の証しとした。ソブリン格付けは投資適格の一歩手前のBB+だが、外国企業や外国の年金積立金管理運用機関が大きな投資をしており、カントリーリスクは低いと述べた。また、前政権時代に建設が大きく進み、パラグアイとアルゼンチンを経由してブラジルとチリの港を結ぶ両洋間横断道路は、アジア市場へのアクセスを改善し、アジアと南米間の貿易に新たなパラダイムをもたらすとしたほか、税制優遇制度や、60%の人口が40歳以下という豊富な若年人口、労働争議の少なさを投資環境上のメリットに挙げた。

パラグアイ産ゴマの輸出や同国での自動車販売を手掛ける伊藤忠商事ラテンアメリカの渡邉大造社長は、低いビジネスコストと安定性を背景としたブラジル、アルゼンチン向け生産拠点として強みがあると指摘。また、競争力のある電力コストや水力発電、余剰電力量の多さは環境ビジネスの展開に有利に働くとの見方を示した。他方、今後の両国間の投資協定の締結と、環境ビジネスを促進するために2国間クレジット制度の構築に期待すると述べた。

最後に、合成樹脂繊維大手の萩原工業(本社:岡山県倉敷市)の現地法人で、同社の主力製品のコンクリート補強繊維(バルチップ)の生産を手掛けるハギハラ・インダストリーズ・イグアスの萩原佳明社長がパラグアイ東部エステ市への進出の経験談を発表した。同社は南米大陸初の工場を2023年に設立した。パラグアイの魅力として、治安の良さ、家族や友人、地域社会を大切にする温かい国民性、日本語能力の高い日系パラグアイ人コミュニティーの存在、アスンシオン市外でも日本人移住地の日本語学校に子弟を通わせることができることなどを挙げた。

写真 パラグアイのビジネス環境について説明するマルフ商工副大臣(ジェトロ撮影)

パラグアイのビジネス環境について説明するマルフ商工副大臣(ジェトロ撮影)

(西澤裕介)

(パラグアイ、日本)

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