欧州議会、民主主義を守るための投票の重要性を呼びかけ

(EU)

ブリュッセル発

2024年05月02日

欧州議会は4月29日、欧州議会選挙(6月6~9日)に向けたメディア向け広報を実施した。民主主義の重要性を強調するため、過去の武力紛争や、個人の自由が制限された時代を振り返る動画を作成(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。「投票権を行使しなければ、他者の決定に従うこととなる」というキャッチフレーズの下、欧州議会としても対話、団結、積極的な市民参加を促すことをあらためて確認した。欧州議会の任期は5年。

前回2019年の欧州議会選挙の投票率は、有権者の半数を上回る50.6%だった。欧州議会が公表した「2024年春季・ユーロバロメーター調査報告」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(EU市民を対象とする世論調査)によると、「次期欧州議会選挙に関心がある」との回答は60%で、2019年の選挙3カ月前に実施した同調査より11ポイント上昇。「投票に行くか」という問いには71%(同10ポイント上昇)が行く予定と回答した。一方、選挙日程について、日付まで把握している回答者は14%にとどまり、「2024年6月実施」は15%、「2024年実施」は38%、23%は分からないと回答した。

投票が重要な理由に関する設問(複数回答)では、「民主主義の維持のために重要」との回答割合が86%と最大で、次いで「次世代のために重要」が84%、「投票権を行使しなければ、他者の決定に従うこととなる」「現在の国際情勢からさらに重要性が高まっている」がそれぞれ81%と続いた。欧州が将来的に世界の中での地位を強化するために最も注力すべき分野を問う設問では、「防衛と安全」が18%で最大、次いで「エネルギー」「競争力・経済・産業」「食料安全保障・農業」が各10%、「EUの価値観(民主主義、人権保護含む)」「気候変動対策、排出削減」が各9%と続いた。

現地報道の選挙予測によると、現在最大議席を有する中道右派の欧州人民党(EPP)グループ、第2勢力の中道左派、社会・民主主義進歩連盟(S&D)グループの2大体制は変わらないものの支持率は落としている。他方、EUによる統合懐疑派の極右、アイデンティティと民主主義(ID)が躍進している(添付資料表参照)。

写真 ブリッセルの欧州議会(2024年4月、ジェトロ撮影)

ブリッセルの欧州議会(2024年4月、ジェトロ撮影)

(薮中愛子)

(EU)

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