海外初となる「すし通り」の命名式典がフィンランドで開催
(フィンランド、日本)
ロンドン発
2024年05月30日
フィンランドのヤルベンパー市(注1)で5月29日、大型スーパーマーケット、Kシティーマーケット・ヤルベンパー店に面する通りを「すし通り」と命名する式典が開催された。日本国外で、行政上の地名として「すし通り」と命名されるのは前例がない(2024年3月25日記事参照)。オッリ・ナウカリネン前市長、同市都市開発委員会のネア・カレニウス委員長、岡田隆駐フィンランド日本大使ら約30人が出席した。
Kシティーマーケット・ヤルベンパー店は、日本産のコメを使用した量り売りのすし販売で有名。2019年に同店がIGDアワード(注2)の「ストア・オブ・ザ・イヤー2019」を受賞したことで、すしの名所としてヤルベンパー市の知名度が上がったことから、同店への感謝を込めて当時のナウカリネン市長が「すし通り」の命名を提案したという。
式典では、「すし通り」の看板の除幕式、桜の植樹に続き、店内に展示された神輿の前で出席者が祝辞を述べた。同店のマルック・ハウタラ店長は「日本から顧客や品質に対する敬意を学んだ」と述べるとともに、「頭で考えてたどり着いたわけではなく、ただ情熱をもって働いてきただけだ」とこれまでの取り組みを振り返った。
式典当日と翌日は、記念セールで同店のすしの量り売りが通常時の半額の1キログラム当たり9.9ユーロで提供され、買い物客が列をなして買い求めていた。
また、式典当日付のフィンランド最大の新聞「ヘルシンギン・サノマット」には、すし通りの命名を知らせる全面広告が掲載され、協賛企業にキユーピー、JA全農、柴沼醤油醸造、鈴茂器工が名を連ねた。Kシティーマーケット・ヤルベンパー店のコメは、JA全農が輸出して東京館(注3)が輸入しているが、ヤルベンパー店だけで年間約40~50トンの販売とのことだ。
日本からフィンランドへのコメの輸出量は2023年159トンであり、同店がフィンランドにおける日本産米の最大の需要者と考えられる。
(注1)フィンランドの首都ヘルシンキの北にある地方都市。
(注2)英国に本拠を置くIGD(Institute of Grocery Distribution)が毎年、全世界約1,000店舗を訪問して分析したレポートに基づき、食品、消費財業界の最優秀賞を表彰するイベント。
(注3)ヘルシンキで小売店も営む日本産食品の輸入卸。代表は冨田憲男氏で、同氏は2018年から日本食普及の親善大使を務める。
(林伸光)
(フィンランド、日本)
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