米コワーキングスペース大手ウィーワーク、破産からの脱却に向けて4.5億ドルを確保

(米国)

ニューヨーク発

2024年05月02日

米国コワーキングスペース大手のウィーワーク〔本社:ニューヨーク(NY)市〕は4月29日、同社の経営再建を巡り主要債権者と和解に達し、連邦破産法第11章(以下、破産法)から脱却するための新たな再建案で合意したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社が2023年11月に破産法の適用を申請してから(2023年11月13日記事参照)、創業者のアダム・ニューマン氏が同社を6億5,000万ドルで買収するために交渉を行っていたが、ウィーワーク側が拒否して再建計画を進めていた。

ウィーワークは主要債権者との間で、再建後の事業の株式と引き換えに、同社が抱える40億ドル相当に上る破産法申請前の債務を全て解消する見込みだ。さらに、破産法適用期間中の運営資金と再建用の資金として、約4億5,000万ドルの融資を受けることで合意した。

不動産テクノロジープロバイダーで、ウィーワークのベンダー兼債権者であるヤルディシステムズは、今回提案された計画が債権者投票で承認された場合、融資の60%に相当する3億3,700万ドルを出資することに合意した。新たな再建案の下でも、ウィーワークの最大の支援者であるソフトバンクグループは、20%の株式を保有することになる(「ファイナンシャル・タイムズ」4月29日)。

なお、ウィーワークは、2024年5月30日に開催予定の公聴会で開示書類の最終承認と再建計画の投票を行う予定としている。

2010年に創業したウィーワークは、「オフィスワークの未来に革命を起こす」ことを掲げ、ピーク時の2019年には企業価値が約470億ドルに達するまで急成長したが、新型コロナウイルス禍でのハイブリッド勤務や在宅勤務の普及、コワーキングスペースにおける競争の激化、金利の上昇などが業績悪化に寄与したとみられている。

米国のオフィス市場では、高止まりする金利と需要の低迷に屈する不動産所有者が増え、債務不履行が歴史的な水準に達している。米国の調査会社MSCIによると、米国のオフィスビルのうち380億ドル相当以上が債務不履行や差し押さえなどの危機にさらされており、2008~2009年の金融危機後の2012年第4四半期以来の最高額となる。データサービスを手掛けるコースター・グループによると、米国のオフィス空室率は2019年末の9.4%に対し、2024年現在は過去最高の13.8%となっている(「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙電子版4月30日)。

(樫葉さくら)

(米国)

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