サウジアラビア、英国とパートナーシップ拡大へ、有望経済分野に関する共同声明を発表

(サウジアラビア、湾岸協力会議(GCC)、英国)

リヤド発

2024年05月20日

サウジアラビアと英国の戦略的パートナーシップ評議会の枠組みの下、5月14日から2日間にわたって「GREAT Futures Initiative」会合がサウジアラビアの首都リヤドで開催された。同パートナーシップの枠組みで第4回経済・社会会議も開催され、英国からオリバー・ダウデン副首相が出席した。同会議では、投資、教育、医療、文化、金融サービスなど13の有望経済分野(注1)での経済関係強化を目的に20の閣僚会議と50の対話セッション、10のワークショップが開催された。閉会後には、マジッド・ビン・アブドゥッラー・アール・カサビ商業相とダウデン副首相が、各有望経済分野に関する共同声明を発表した。

同声明によると、投資分野では2017年以降、サウジアラビアから英国への投資総額は210億ドル、英国からサウジアラビアへの直接投資額(ストック)は2023年時点で130億ドルに達した。政府系ファンドの公的投資基金(PIF)の子会社やNEOM、ELM(注2)の英国事務所設立、英国企業の52社がリヤドで地域統括会社(RHQ)を設立したことなどを歓迎し、両国の投資協力を拡大する協定が調印された。

金融サービス分野では、サウジアラビアは英国のロンドンが国際資本市場のハブとして好ましい選択肢であることを再確認した。2022年以降、ロンドンで559億ポンド(約11兆682億円、1ポンド=約198円)を超える資金を調達しており、PIFの新発債発行や史上初の100年債グリーンボンド発行といった画期的な取引も含まれている。両国は重複上場、銀行業務、フィンテック、資産運用、グリーンファイナンス、保険業務分野での協力継続に合意した。

貿易分野では、173億ポンドを超える記録的な貿易水準を称賛し、2030年までに2国間貿易を300億ポンドに拡大する目標に合意。さらに、英国と湾岸協力会議(GCC)間の自由貿易協定を締結する決意を表明した。

「GREAT Futures Initiative」に付随するイベントは、両国のパートナーシップ強化のため、今後12カ月間にわたって開催される予定だ。

共同声明の詳細は添付資料を参照。

(注1)13の有望経済分野:貿易、投資、エネルギー・気候、重要鉱物資源、教育、革新的な技術、先進的な製造業、医療、文化、輸送・物流サービス、観光・査証、スポーツ、金融サービス。

(注2)1986年にサウジアラビアの研究機関として設立した企業。

(平田若菜)

(サウジアラビア、湾岸協力会議(GCC)、英国)

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