容量削減によるステルス値上げの店頭表示を義務付け
(フランス)
パリ発
2024年05月07日
フランス政府は5月4日、価格を据え置いたまま重量や容量を削減するステルス値上げ対策に関する省令を公布した。7月1日から、売り場面積400平方メートル以上の小売店に対し、実質的値上げに関する店頭表示を義務付ける。
具体的には、ステルス値上げの実施から2カ月間、「この製品は(重量や容量が)XからYとなり、単位当たり〇%または〇ユーロ値上がりした」と、商品のそばに表示する。表示の義務を怠った場合、個人には3,000ユーロ、法人には1万5,000ユーロの行政罰が科される。
同規制の対象となる商品は、ボトル入り飲料、袋詰めコメ、缶詰などの個包装の食品や、ボトル入り洗剤などの日用品で、量り売りの商品は対象外とする。政府はまた、消費者に対し、ステルス値上げの疑いがある場合は、経済・財務・産業およびデジタル主権省の競争・消費・不正防止総局(DGCCRF)のオンラインフォームより通報するよう促している。
ブリュノ・ル・メール経済・財務・産業およびデジタル主権相は4月19日付のコミュニケで、「ステルス値上げは詐欺だ。消費者の信頼回復のために、ステルス値上げの行為に終止符を打つ」とした。また、同相付のオリビア・グレゴワール企業・観光・消費担当相は「(同規制は)消費者への透明性を確保する重要な一歩」と評した。
ステルス値上げを以前から批判していた消費者団体のフードウォッチ・フランスやUFC-ク・ショワジールは、政府に対し、消費者を保護するためのより厳格で明確な規制を求めていた。
食品小売り流通大手のルクレール(E.Leclerc)のミシェル=エドゥアール・ルクレール会長は「消費者への情報提供は当然だが、メーカー側で包装に表示すべき」と、4月19日にX(旧Twitter)上でグレゴワール企業・観光・消費担当相にコメントした。同相は同日、「メーカーは消費者に対して責任を持ち、透明性を保ち、忠実であるべきで、ステルス値上げをしていると言うべきだ。 2025年には、メーカーによる(ステルス値上げの)情報提供の義務化を欧州レベルに持っていきたい」と回答した。
政府は、EUの食品ラベルに関する規則(通称:INCO規則)の改正案として今後、EUレベルで審議したい意向だ。
(奥山直子)
(フランス)
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