「アフリカの肥料と土壌の健康サミット」、AUがナイロビで開催

(アフリカ、ケニア)

調査部中東アフリカ課

2024年05月15日

アフリカ連合(AU)はケニアの首都ナイロビで5月7~9日、「アフリカの肥料と土壌の健康サミット(AFSH)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を開催した。アフリカ各国の首相や閣僚、アフリカ開発銀行(AfDB)などの関係機関も参加し4,000人を超える関係者が出席した。

同サミットでは、肥料と持続可能な土壌管理のための多様な利害関係者のパートナーシップと、投資の促進に焦点を当てた議論が行われ、議論をまとめたものが「ナイロビ宣言」として承認された。宣言では、各国で認証を受けた高品質な有機肥料と無機肥料のアフリカでの生産と流通を2034年までに3倍にすることなどを掲げた。また、より具体的な行動計画として「アフリカの肥料と土壌の健康に関する行動計画」を承認した。

2006年の「アブジャ宣言」では、1ヘクタール当り50キログラムの肥料消費を目標として設定していたが、平均肥料消費量は同18キログラムにとどまっていた。新たな行動計画では、2034年までに同54キログラムの肥料消費量を目標に設定し、「アブジャ宣言」を引き継ぐかたちとなった。また、アフリカ大陸では年間3,000万トンの鉱物肥料が生産されている一方、AU加盟国のほとんどが依然として鉱物肥料、特に非リン酸肥料の純輸入国になっている。新たな行動計画では、アフリカ大陸内の鉱物や有機肥料のバリューチェーン開発のためにより多くの公的・民間資本を動員することに重点を置いた。そのほか、さまざまな土壌タイプや作物、気候条件に肥料の配合を適合させるための「気候スマート農業」に向けた投資促進や、インフラ整備と情報通信技術(ICT)を活用したスマート灌漑技術による水の供給と効率的な利用を含む、持続可能な土壌の健康管理の実践に向けた多額の投資を目標として設定し、農業の年間成長率を2023年の4%から10年間で8%へ倍増させることも目標とした。

AU委員会(AUC)のムーサ・ファキ委員長は、輸入肥料への依存を背景に、「肥料の現地生産を促進し、アフリカの農家に高品質な肥料を手頃な価格で届けるために、大陸に既存している資源の利用を最適化しなければならない」と述べた。

(坂根咲花)

(アフリカ、ケニア)

ビジネス短信 4200ef326ab14fc2