米商務省、CHIPSプラス法に基づく半導体デジタルツイン技術開発への資金援助を発表

(米国)

ニューヨーク発

2024年05月07日

米国商務省は5月6日、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づく、半導体産業のデジタルツイン(注1)技術の研究開発に対する資金援助の概要を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

バイデン政権は米国内の半導体産業の振興を目的に、2022年8月にCHIPSプラス法を成立させた。同法では、米国内で半導体製造施設や製造装置・素材関連施設の建設や拡張などの投資を行う企業・団体に対して390億ドルの資金援助と25%の税額控除を行うほか、半導体産業の研究開発を行う企業・団体に対して110億ドルの資金援助を行うことなどを規定し、それぞれで資金援助を発表している(注2)。

うち、研究開発に対する資金援助は、(1)先端半導体の研究開発を行う国立半導体技術センター(NSTC)、(2)先端パッケージング技術開発プログラム(NAPMP)、(3)半導体のデジタルツイン技術・人材開発を行う米国半導体製造研究所、(4)半導体の計測(メトロロジー)技術開発プログラムの4事業に分かれ、今回発表された資金援助はこのうちの(3)米国半導体製造研究所の事業に当たる。具体的には、半導体のデジタルツイン技術開発に関連する基礎・応用研究、仮想・現実環境の構築・支援、産業関連の実証プロジェクト、デジタルツイン関連の人材開発などの事業に対して、最大約2億8,500万ドルの資金援助を行う。

詳細は資金供与機会通知(NOFO)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。また、商務省は本件に関して、米国東部時間5月8日午後4時(日本時間5月9日午前5時)にウェビナー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開催するほか、5月16日には関係者を対象とした対面とオンラインのハイブリッドイベント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開催する予定だ。なお、構想計画書の提出期限は6月20日、申請書の提出期限は9月9日となっている。

今回発表された資金援助について、大統領補佐官(科学技術担当)兼大統領府科学技術政策局(OSTP)局長のアラティ・プラバカール氏は、「CHIPSプラス法の研究開発(に対する資金援助)は、米国の製造企業が成功・繁栄し続けられるようにするためのものだ。デジタルツイン技術は、この極めて複雑な製品の次世代の強固な製造技術を開発するための、コストと時間のかかる作業を加速させることができる」と述べている。

(注1)仮想空間に現実空間の双子(ツイン)となる環境を再現し、製品や設備などに関するさまざまなシミュレーションを行う技術。これにより、製品や設備などの生産の最適化や業務効率の向上、開発期間やコストの削減などが見込まれる。

(注2)今回発表までの資金援助に関する申請受け付け状況や助成対象の発表状況は、2024年4月26日記事参照

(葛西泰介)

(米国)

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