第1回ポーランド・日本経済フォーラムがウッチで開催

(ポーランド、日本)

ワルシャワ発

2024年05月02日

ポーランド中央部の都市ウッチで4月25日、「第1回ポーランド・日本経済フォーラム」が行われた。ウッチ市とフォルタク&カラシンスキ法律事務所(注)が主催し、ポーランド、特にウッチ県への日本からの投資状況や協業・連携の可能性が議論された。主催者によると、ウッチは教育機関が複数集まり、IT分野などの豊富で優秀な人材が魅力という。

ウッチ県をはじめポーランドにおける日本企業の投資成功の要因をテーマとしたパネルディスカッションでは、JTI(JTインターナショナル)、ダイキン工業、富士通テクノロジー・ソリューションズ、ESAロジスティカ、ウッチ経済特別区の代表者が登壇した。ポーランドの市場性、ウッチの投資支援制度について説明が行われたほか、登壇者はそろって、ウッチ県から輩出される豊富な高度人材を評価していた。

富士通テクノロジー・ソリューションズの代表者は、全世界へのITサービスの提供には多言語に対応する高度人材が重要であり、ウッチの人材を活用し、スキルを高度化させながら、人工知能(AI)や量子コンピュータなどの先進的な取り組みを加速させたい、と語った。また、東欧で複合物流を手掛けるESAロジスティカ(国際物流ロジスティードのグループ会社)の代表者は、自動運行ドローンによる在庫管理システムの開発など、物流の自動化を推進する上で創造的な人材が不可欠であり、ウッチの教育機関と協力し、人材を確保する体制を組んでいる、と話した。

日本とポーランドの協業・連携可能性のセッションに登壇した在ポーランド日本商工会の松浦裕市会長は、ポーランドは理系人材が豊富で技術関係の造詣が深く、複数言語を話す人材も増えているため、ポーランドで得た知見をもって海外で活躍することも期待できる、と評価した。同会長は、ウッチ工科大学の航空力学を専門とする研究室と欧州の航空機製造大手エアバスとの共同研究事例を紹介し、ポーランドの大学と日本企業の協業・連携の発展に期待を寄せた。

ウッチ経済特別区のパベル・クリムチャック氏は、これまでの投資環境整備や誘致の取り組みの結果、現在14社の日本企業がウッチ県に進出しているが、重要なパートナーである日本との協力関係を深め、さらなる進出を促したい、と今後の展望を話した。

写真 イベントの様子(フォルタク&カラシンスキ法律事務所提供)

イベントの様子(フォルタク&カラシンスキ法律事務所提供)

(注)ビジネス法務サービスを提供する、ウッチ県における大手法律事務所で、ジャパンデスクを持つ。

(柴田紗英)

(ポーランド、日本)

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