米「ACT EXPO2024」開催、ホンダは水素燃料電池搭載のトラックを初公開
(米国、日本、中国、韓国、スウェーデン、ノルウェー)
ロサンゼルス発
2024年05月30日
米国の最先端のゼロエミッション・テクノロジーを用いた商用車両の展示会「ACT EXPO2024」が5月20~23日、ラスベガス・コンベンション・センターで開催された。展示会では500社を超える出展者が参加し、大型の電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)や装置・製品など約200件の発表に加え、専門家やメーカーによる環境政策への取り組みやテクノロジーの開発状況、導入事例が紹介された。
特に注目を集めたのは、ホンダによる燃料電池(FC)システムの発表だ。FCシステムはミシガン州ブラウンズタウンにあるゼネラルモーターズ(GM)との提携施設で量産され、米国トラックメーカー、ピータービルトの大型クラス8トラックに搭載した水素FCトラックコンセプトを展示紹介した。ホンダは今後、米国市場で水素を用いたFC製品の生産・拡大を目指し、引き続き新たなパートナーや事業形態も模索していくという。
このほか、ダイムラートラックは、自動運転機能を備えたクラス8のEVトラック「フライトライナー・eカスケディア・オートノマス」を展示した。また、ケンワースは、官民でトラック開発を推進するエネルギー省(DOE)のスーパー・トラック・プログラム下で開発した「スーパー・トラック2デモンストレーター」を発表した。BYDは、スウェーデンで自動運転技術を開発するエインライド(Einride)の技術を用いたクラス8のEVトラックの展示に加え、港湾内での利用を想定したヤードEVトラックやEVスクールバスを公開した。
日本メーカーでは、日野トラックが、ノルウェーのヘキサゴンプルス(Hexagon Purus)との提携でクラス8のEVトラック「ターン・RC8」を初公開した。また、いすゞ自動車は、米国輸送用冷蔵・冷凍機器メーカー、サーモキングの冷蔵冷凍ユニットを装備したクラス5のEVトラック「2025 NRR EV」の発表を行った。いすゞは、ディーラーが顧客のニーズに合わせたかたちでトラックの荷台の大きさや冷蔵冷凍ユニットを選択・搭載できるという。
同展示会では、会場前の屋外スペースを活用し、30台もの試乗も行われた。大型クラス8のFCVトラック部門ではトヨタ自動車とケンワースが提携して開発したFCVの「T680」やニコラ(NIKOLA)が物流会社のアイロ(AiLO)向けに製造したFCVトラック、韓国の現代のFCV「Class 8 XCIENT」の3台、EVトラック部門ではテスラの「Tesla Semi」や中国の新興メーカー、ウィンドローズ・テクノロジー(Windrose Technology)の「R600」の試乗が行われた。試乗は、物流事業者や車両メーカー、港湾関係者に加えて官庁・自治体関係者の姿も見られ、関心の高さがうかがえた。
米国では2022年7月27日に、ワシントンDCほかカリフォルニア州を含む17州(注)の政府による「中・大型車に関する排ガス削減の共同覚書」が締結されており、2030年までに中型、大型車両の新車販売の30%をEVやFCVとし、遅くとも2050年までに販売車の100%をゼロエミッション車(ZEV)にするという目標を定めている。こうした動きの中で、カリフォルニア州ではゼロエミッショントラック購入時の補助金(2022年9月16日記事参照)に加えて、革新的小型EVフリート (ISEF)プログラムへの補助を2024年6月3日から受け付け開始する。排ガス規制や州レベルの積極的な補助金、テクノロジーの進化により、商用車両のゼロエミッション化がさらに進むことが期待される。
(注)カリフォルニア、コロラド、コネチカット、ハワイ、メーン、メリーランド、マサチューセッツ、ネバダ、ニュージャージー、ニューヨーク、ノースカロライナ、オレゴン、ペンシルベニア、ロードアイランド、バーモント、バージニア、ワシントンの17州。
(サチエ・ヴァメーレン)
(米国、日本、中国、韓国、スウェーデン、ノルウェー)
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