チリ発ユニコーン、AIを駆使した代替食品開発、絶滅危惧種を保護

(チリ)

調査部米州課

2024年04月23日

チリ発フードテック系ユニコーン企業のノット・カンパニー(NotCo)は4月12日、自社の公式YouTubeチャンネル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上で、新製品「ノット・タートル(NotTurtle)」のプロモーションを開始した。これまでNotCoは、自社製の機械学習ソフトウェアである「ジュゼッペ(Guiseppe)」を活用し、マヨネーズや牛乳などの動物性原材料由来の食品を植物性食品のみで代替した製品の開発、販売を手掛けてきた。

今回開発された「NotTurtle」は、絶滅危惧種に指定(注1)されているアオウミガメを用いたスープ料理を模して作られた代替食品だ。NotCoによれば、絶滅危惧種としての指定を受けているにもかかわらず、中国、ナイジェリア、メキシコ、ペルーといった国々では、アオウミガメを食用とする文化が現在まで根付いている。それらの国々における食文化の尊重と、絶滅危惧種の保護を両立するための人工知能(AI)を活用したソリューションの1つとして、「NotTurtle」が誕生した。

膨大な検証作業にAIを活用し、味と触感を再現

「NotTurtle」の開発にあたって、まずは世界的にも著名なペルー人シェフであるディエゴ・オカ氏の協力のもと、アオウミガメのスープの実食(注2)とそのレシピについての研究が重ねられた。その後、スープの味や触感を再現するため、「Guiseppe」を通じておよそ30万種類の植物から成る2垓6,000京通り(注3)の組み合わせが検証され、再現レシピの完成に至った。NotCoは今後、シェフやレストラン関係者向けに同レシピについて解説するオンライン講座を開講し、さらなる普及活動に取り組む、としている。

(注1)国際自然保護連合(IUCN)が定めるレッドリストへの掲載を指す。

(注2)合法的にアオウミガメの実食が可能なケイマン諸島で実施された。

(注3)1京(けい)は10の16乗、1垓(がい)は10の20乗。

(佐藤竣平)

(チリ)

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