第15回ラオビジネスフォーラム開催
(ラオス)
ビエンチャン発
2024年04月12日
ラオスの投資環境の改善を目的とする官民対話「第15回ラオビジネスフォーラム(LBF15)」が4月2日に開催され、ラオス商工会議所(LNCCI)やラオス日本人商工会議所(JCCIL)を含む各国の商工会議所が参加した。ソーンサイ・シーパンドン首相が議長を務め、マライトーン・コンマシット商工相や各省の副大臣らが出席した。JCCILの河合輝哉会頭はキーノートスピーチを行い、「日本とラオス間の取り組みである官民合同対話(在ラオス日本大使館ウェブサイト参照)は今年1月に17回目を実施し、法律整備、物流、外貨、駐在員事務所に関する協議を行った。LBF15でも一部重複する議論が行われる中、具体的な方針や対応策が提示されることを期待する。」と述べた。
バリーLNCCI副会頭は、2023年3月に実施した前回のラオビジネスフォーラム(LBF14)で要請した20項目の課題の進捗状況の報告と、今回に新たに提起された12項目の課題についての説明を行った。特にLBF14での20項目のうち、次の6項目が解決したと評価した。
- 6分野(工業、農林産品加工、観光、レストラン、建設、教育)を許認可プロセスの見直しと簡易化の優先分野とすること
- 商工省管轄の上記の優先分野をはじめ10分野でライセンスの見直しを完了
- 業界団体の設立に関する法案の起草(設立プロセス・条件の明確化)
- ラオス中銀傘下のクレジット・インフォメーション・センター(CIC)による融資情報データーベースの拡充(公共料金支払い履歴の参照や他県データへの拡大)
- 電子式原産地証明書(フォームD)の開始とASEANシングルウィンドウのパイロット事業の開始
- 全商品を対象とするラオスでのナショナルシングルウィンドウ(NSWA+、注1)が稼働
新たに提起された12項目の課題のうち、主なものは次のとおり。
- ネガティブリスト(注2、外資に関する規制)の対象分野の削減
- ドライポートのサービス開始(2020年7月13日記事参照)に伴うサービスの質や費用に関する評価・見直しや、外国籍トラックのラオス国内の走行禁止措置に関する影響の評価(注3)
- 労働者情報データーベースの開発による労働マーケット情報へのアクセスの容易化
- 外貨管理の規制の見直し、特に外貨収入の両替に関する規定の見直し(2024年3月22日記事参照)
これらの課題に対し、計画投資省からネガティブリストの対象を44業種から19業種に削減するとの説明があった。また、投資奨励法の改正作業も実施しており、オンラインによる投資申請も導入する予定と説明した。ドライポートに関しては、公共事業運輸省から、改正政府令草案が最終段階にあり、サービス基準なども明確化するとの説明があった。外国籍トラックのラオス国内の走行に関する規則の改正についても、2024年4月末に事業者向けの説明会を実施するとした。中央銀行は、外貨管理、特に輸出企業の収入の一定比率を現地通貨に両替する規則について、ガソリンや医薬品、日用品など輸入に依存する必需品を安定的に確保するために外貨の確保が必要と説明し、事業者に理解を求めた。
(注1)NSWA+(National Single Window A+)とは、貿易窓口統一システムのLNSW(ラオナショナルシングルウィンドウ)とASYCUDA(電子通関システム)をシームレスに連携させたシステム。これまでは自動車など一部の品目に限定して試験運用が行われていた。
(注2)ネガティブリスト(現行は14分野44業種)に該当する業種は投資申請の際に担当省庁の審査を受ける必要がある。
(注3)「2022年2月23日付ラオスへの外国籍トラックの監督検査強化に関する公共事業運輸省事務室告示(04718/MPWT)」により、空荷の外国籍トラックが国境付近のドライポートまでしか走行が認められず、ラオス国内輸送にはラオス籍トラックが輸送を担うと規定された。それ以前は外国籍トラックがラオス国内の集荷・配達先まで走行が認められていた。
(山田健一郎)
(ラオス)
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