2024年2月のインフレ率は31.7%、1996年以来の最高値に

(ナイジェリア)

ラゴス発

2024年04月01日

ナイジェリア国家統計局は3月15日、2024年2月の消費者物価上昇率(CPI)を1996年以来の最高値となる前年同月比31.70%と発表した。ナイジェリア・ナイラの通貨安に伴う輸入価格の高騰が主な要因だ。価格変動の大きい食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は25.13%で、前年同月の18.37%から6.76ポイントの上昇だった。

特に食料品における上昇率は37.92%と大幅な上昇が続く。地域別では、コギ州(46.32%)、リバー州(44.34%)、クワラ州(43.05%)など北中部から南東部、西部の一部で高い傾向にある。日系企業の集積するラゴス州では39.93%、アブジャ連邦首都地区(FCT)では34.53%の上昇率だった。パンや穀類、コメ、肉、魚、ジャガイモ、果物などの主要な食料品価格が軒並み上昇している。

同局が3月23日に発表した「厳選食品価格ウオッチ」によると、2024年2月の牛肉(骨なし)1キログラム(kg)の平均価格は2,445.96ナイラ(約269円、1ナイラ=約0.11円)となり、前年同月の1,922.20ナイラから27.25%上昇した(注1)。卵や練乳の上昇率は4割を超え、卵は47.16%(88.03ナイラ)、無糖練乳170グラム(g)は46.12%(358.41ナイラ)の上昇率だった。加えて、トマトやタマネギなど主要野菜の平均価格は、それぞれ468.09ナイラ(前年同月393.08ナイラ)、450.07ナイラ(前年同月378.26ナイラ)と約2割ほど価格が上昇している。

また、主食のコメにおいては、国産米1kgの平均価格は520.84ナイラと前年同月の436.58ナイラから19.30%値上がりしているほか、輸入米についても745.96ナイラと25.41%の上昇だった。コメの販売価格を地域別にみると、1kgあたりの国産米の平均価格はエド州などの南部が最も高く599.29ナイラだった。一方、カノ州やカドナ州などの北西部では451.70ナイラと地域ごとに価格差がついている。

現地報道によれば、月収10万ナイラ以下の低所得者層のうち、月収が1万5,000ナイラ以下の層における、支出総額に占めるコメの割合は40%に増加し、2023年の10%から急増している(注2)。国内の大手食品メーカーでは、食品を少量ずつ包装して販売価格を下げ、低所得者層を含む多くの購買層が購入しやすいよう工夫している。国内の主要なインスタント麺ブランドでは現在、70グラムから280グラムまでの商品ラインアップがある。

(注1)2023年6月に外国為替市場が自由化されて以降、2024年2月中旬までにナイラは69%下落しており、円貨換算値は安価な傾向にある(2023年6月20日記事2024年2月16日記事参照)

(注2)2024年3月時点での月間法定最低賃金は3万ナイラと指定されているが、一部の職種に例外があるとされる。2024年4月に最低賃金の更新が予定されている。

(柴田北斗)

(ナイジェリア)

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