IMF、リヤドに中東地域初となる地域事務所を設立

IMFは4月23日、中東地域や周辺国とのパートナーシップ強化のため、中東地域で初めてとなる地域事務所をサウジアラビアのリヤドに設立することを発表した。また、同事務所の発足式がサウジアラビア財務省とIMFにより、4月24日から2日間にわたってリヤド市内で共催した地域会合時に行われた。同事務所は能力開発や域内政策監視の拡大などを通じ、地域の国際金融システムの安定に向けた支援活動を目的とし、政府機関など各ステークホルダーとの関係強化が期待されている。加盟国の能力開発促進のための、サウジアラビアによる財政面の貢献への感謝も併せてコメントした。

中東地域事務所代表には、政府立案に関わる世界中の学者とのネットワークやIMFでの豊富な経験を有するセネガル人のアブドゥル・アジーズ・ウェイン氏が起用された。

4月24、25日に発足式と併せて開催された「経済多様化を促進する産業政策」と題した会合は、産業政策の主要原則を見直し、「アジアの奇跡」を含む他の地域の先例から成功と挫折の教訓を引き出すことを狙いとしたものだ。同テーマは、石油資源に恵まれた中東地域の経済にとって、経済を多様化するための野心的な改革に着手する上で重要となるという。

2022年10月にサウジアラビアを訪問したクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は「リヤドに地域事務所が発足することにより、協力関係を新たなレベルに引き上げたいと考えている。この同事務所は地域機関との連携の先頭に立ち、各国当局とIMFの関係を強化し、IMFによる能力開発活動の拡大につながる」との声明を発表していた。サウジアラビア政府は3月19日、IMF地域事務所をリヤドに設立することを閣議で正式に承認した。IMFの地域事務所としては、日本に設立されているアジア太平洋地域事務所（OAP）をはじめ、世界9カ国に設立されており、今回で10カ国目となる。

（平田若菜）