2023年の実質GDP成長率はマイナス1.6%

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2024年04月08日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は3月20日、2023年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率は前年同期比マイナス1.4%、季節調整済み前期比マイナス1.9%だったと発表した(添付資料図参照)。通年では前年比マイナス1.6%だった。四半期別では3四半期連続、通年では2020年以来のマイナス成長となった。2023年は干ばつや深刻な外貨不足等により、農業や製造業の活動が停滞し、輸出の不調がGDP全体を押し下げた。

GDP成長率を需要項目別にみると、2023年通年、第4四半期ともに、特に輸出の落ち込みが大きかった。GDP成長率を経済活動分野別にみると、通年では農業・牧畜・狩猟・林業が2桁のマイナス、四半期別では第2四半期(4~6月)以降、製造業が落ち込んでいることがわかる(添付資料表参照)。増減寄与度でみると、通年では農業・牧畜・狩猟・林業、第4四半期は製造業がGDP成長率全体を押し下げた。需要項目別では、通年、第4四半期ともに、輸出と総固定資本形成がGDP成長率全体の押し下げ要因となった。

2024年はさらなる経済冷え込みを予測

中央銀行が民間エコノミストらを対象に毎月実施している主要経済指標の予測値に関するアンケート調査(REM)の最新調査結果(2月調査)によると、2024年通年の実質GDP成長率の予測値の中央値は前年比マイナス3.5%となっている。民間研究機関のラテンアメリカ経済調査財団(FIEL)による2024年3月時点の予測値もマイナス4.5%だ。

2023年12月10日に発足したハビエル・ミレイ政権は、慢性的な高インフレの解消を最重要課題に掲げ、そのために財政支出の削減や、二重為替レートの一本化などの政策を進めている。財政支出の削減により公共工事の新規入札を停止したほか、国家公務員の人員削減を進めている。また、2023年12月に公式為替レートを50%超切り下げたことにより、国内の需要が縮小した。一連の政策によって民間消費や生産活動が落ち込んでおり、GDPの先行指標の産業活動指数(EMAE)の2024年1月の値は、前年同月比マイナス4.3%だった。2024年は消費者や企業にとって厳しい1年になりそうだ。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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