3月の自動車販売が減少、景気悪化で換物需要が低下

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2024年04月19日

アルゼンチン自動車販売代理店協会(ACARA)は4月1日、2024年3月の自動車販売(新車登録)台数は、前年同月比36.2%減の2万4,716台だったと発表した(添付資料図1参照)。前年同月比では4カ月連続でマイナスとなっており、1~3月累計では前年同期比30.0%減少した。

ACARAのセバスティアン・ベアト会長は「購買力の低下は明らかであり、販売代理店が消費者を探し求めなくてはならないという新しい状況にある」と、景気の悪化によりこれまでの換物需要が自動車販売を後押しした状況が変わったとの見解を示した。他方、「現状の安定した外国為替市場、メーカーや銀行などの便利な自動車ローンの出現や、物価上昇の減速などのポジティブな面もあり、短期的にトレンドが変わる(販売が回復する)兆しも見えてきた」と語った。

3月27日付の現地紙「インフォバエ(電子版)」によると、3月は夏季休暇中(12月~2月)の支出を含めて家計支出が増える月であり、それに加えて公共料金、医療サービス料金、教育費などの値上げが消費者の購買力を低下させているため、3月の自動車販売の大幅な落ち込みはメーカー側も予測していた。

国内自動車生産も減少、メーカーは年産計画見直しや人員削減へ

アルゼンチン自動車製造業者協会(ADEFA)は、3月の生産(トラック、バスを除く)の生産台数は前月比15.1%増、前年同月比29.4%減の4万3,159台だったと発表した。輸出台数は前月比0.4%減、前年同月比27.6%減の2万3,484台にとどまった(添付資料図2、図3参照)。1~3月の累計輸出台数を仕向け地別にみると、ブラジル(71.7%)と中米(11.8%)向けの伸び率が堅調だ(添付資料表参照)。

3月28日と4月5日付の現地紙「ラ・ナシオン(電子版)」は、1~3月の生産台数の落ち込みは、ゼネラルモーターズ(GM)、フォルクスワーゲン(VW)、ルノー、日産の国内工場が部品などの不足によって一時的に稼働を停止したことを主な理由として挙げている。また、自動車メーカー数社は、国内の自動車販売台数の減少を見込み、年間生産台数の削減を計画、人材削減に乗り出している。複数の報道によれば、ルノーやトヨタは従業員の自主退職を促している。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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