イエレン米財務長官、中国との経済・金融WG代表者と会談、4回目のWGも開催

(米国、中国)

ニューヨーク発

2024年04月17日

米国財務省は4月16日、ジャネット・イエレン財務長官が中国との経済ワーキンググループ(EWG)と金融ワーキンググループ(FGW)の代表者と首都ワシントンで会談したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。併せて、それぞれ4回目となるEWGとFWGを行ったことも発表した。

同省の発表によると、イエレン長官は、EWGから国内経済と世界経済の均衡ある成長に関する意見交換、FWGからは反マネーロンダリング(AML)に関する協力と意見交換や、金融安定に関する技術演習の進捗状況について報告を受けた。それぞれの意見交換は、イエレン長官が4月に訪中した際に各WGの下で行わる新たなイニシアチブとして発表されていた(2024年4月10日記事参照)。また、イエレン長官と両WGのリーダーは、両国が協力できる分野と意見の相違がある分野の双方でWGがどのように2国間関係を進展させていけるかについて生産的な議論をしたという。

今回実施された4回目のEWGでは、中国と米国の最新のマクロ経済状況、債務問題を含む世界的な共通課題、見解の分かれる分野などについて議論を継続した。国内経済と世界経済の均衡ある成長を支える経済政策については、定期的に話し合うことで合意した。また、米国の代表団は引き続き、中国の非市場的慣行と過剰生産能力に対する懸念を表明した。

4回目のFWGではまず、3月に行われた金融安定の監督に関する技術的な意見交換のレビューを行った。銀行の流動性リスク管理、金融の安定と市場の発展、スワップ協定の慣行、越境決済とデータ、持続可能な金融などに関しても議論した。AMLに関する初の米国財務省と中国人民銀行(中央銀行)の協力と意見交換も行われ、暗号資産や受益所有権など、AMLやテロ資金供与対策(CFT)に関する優先的な課題を議論した。また、定期的な会合を継続し、金融部門のオペレーショナル・レジリエンス(注)、越境金融サービスの提供に関する監督・規制、保険部門が気候変動リスクにさらされることによる金融安定への影響に関して、追加の技術演習を実施することで合意した。そのほか、金融機関が行う脱炭素化への自発的なコミットメントを含め、さまざまなセクターの脱炭素化を支援するトランジション・ファイナンスの重要性で合意した。また、生態系の破壊と生物多様性の喪失は経済的な課題で、環境保全と回復のための金融支援が極めて重要なことを確認した。

(注)日本の金融庁によると、システム障害、テロやサイバー攻撃、感染症、自然災害などの事象が発生しても、金融機関が重要な業務を最低限維持すべき水準で提供し続ける能力を指す。

(赤平大寿)

(米国、中国)

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