ウクライナ電力大手DTEK、ポーランド最大の蓄電池プロジェクトの買収発表

(ウクライナ、ポーランド)

ワルシャワ発

2024年04月03日

ウクライナの電力大手DTEKは3月27日、同社子会社DRI(DTEK Renewables International)を通じて、ポーランドのコロンバスエナジーから同国最大の蓄電池プロジェクトを買収することを発表した。買収により、DTEKはポーランド南部に133メガワット(MW)の蓄電システムを建設する権利を獲得し、ウクライナのエネルギー市場とEUとの統合を進めることを目指す。DRIは数カ月以内にコロンバスエナジーからの買収を完了させ、2024年第4四半期(10~12月)には施設の建設を開始し、2026年初めに建設を完了、操業を開始することを目標に据える。

DTEKのマクシム・ティムチェンコ最高経営責任者(CEO)は「このプロジェクトはウクライナとポーランドのエネルギーシステム統合に向けた重要な一歩になる」と述べた。

ポーランド通信社(PAP)は3月27日、この大規模蓄電システム〔133MW、532メガワット時(MWh)〕はポーランド南部フシャヌフに建築予定で、推定取引額は最大3,000万ユーロと伝えている。そのうち30%が前払い、残り70%は2025年1月1日までに建築準備状況に応じての後払いになる。

DTEKはウクライナのリナト・アフメトフ氏が率いるSCMグループの100%子会社。DTEKグループ全体の従業員数は5万5,000人。事業分野は風力、太陽光、火力発電所での発電、天然ガスや石炭の生産、国内や国際市場でのエネルギー資源の取引、電力の配電インフラの管理と消費者への電力供給など。

2月19日に東京で開催された日・ウクライナ経済復興推進会議では、DTEKは日本の会社グローバルセキュリティエキスパートとの間で「発電所システムの脆弱(ぜいじゃく)性診断およびサイバーセキュリティ人材育成に関する業務提携」の覚書を締結した。

ウクライナは2022年2月24日、旧ソ連諸国をカバーする総合電力システムIPS/UPSから分離し、同年3月16日に欧州各国を結ぶ電力ネットワークENTSO-E(欧州送電系統運用者ネットワーク)に移行した。これによりウクライナと欧州各国との間での電力の相互供給の際の利便性が増した。

(柴田哲男、坂口良平)

(ウクライナ、ポーランド)

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