テロ防止や違法薬物の流入削減が外交の優先課題に、米シンクタンク調査

(米国)

調査部米州課

2024年04月24日

米国では11月の大統領選挙に向けて予備選が行われている。最近のシンクタンク調査によると、有権者の外交分野の優先課題として、テロ防止や違法薬物の流入減などが挙げられたが、見解は支持する政党によって大きく違うこともわかった。

米国シンクタンクのピュー・リサーチ・センターは4月23日、外交面での優先課題などに関する世論調査結果(注)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによると、長期的視野でみた優先課題として22項目のうち、「テロ攻撃から米国を守るための措置を講じる」(73%)、「米国への違法薬物の流入削減」(64%)、「大量虐殺用武器の拡散防止」(63%)、「他国に対する米軍の軍事的優位性維持」(53%)、「感染症のまん延防止」(52%)、「ロシアの影響力抑止」(50%)、「中国の影響力抑止」(49%)が上位に挙がった。一方、「ウクライナへの支援」(23%)、「イスラエルへの支援」(22%)はいずれも下位だった。

2018年時の調査から大きく増加したのが「中国の影響力抑止」(49%、2018年から17ポイント上昇)、「イスラエル・バレスチナ紛争の解決を図る」(29%、同11ポイント上昇)、「ロシアの影響力抑止」(50%、同8ポイント上昇)だった。

支持政党別では、民主党支持者は「地球規模の気候変動対応」(70%)、「大量虐殺用武器の拡散防止」(68%)、「感染症のまん延防止」(63%)への関心が高かったが、共和党支持者では「テロ攻撃から米国を守るための措置を講じる」(83%)、「米国への違法薬物の流入削減」(79%)、「他国に対する米軍の軍事的優位性維持」(68%)が上位となり、見解の相違がみられた。

年代別〔若年層(18~29歳)と高齢層(65歳以上)の比較〕で見解の隔たりが大きかったのは「米国への違法薬物の流入削減」(高齢層84%、若年層39%、較差45ポイント)、「中国の影響力抑止」(同72%、28%、44ポイント)、「イランの影響力抑止」(同61%、17%、44ポイント)、「他国に対する米軍の軍事的優位性維持」(同71%、31%、40ポイント)などだった。

(注)実施時期は4月1~7日、対象者は全米の成人3,600人。

(松岡智恵子)

(米国)

ビジネス短信 9698541d62c8a037