ウィプロGEヘルスケア、国内での生産とR&D活動に大型投資
(インド)
ベンガルール発
2024年04月03日
インドの医療機器会社ウィプロGEヘルスケアは3月26日、国内で陽電子放射断層撮影・コンピュータ断層撮影(PET-CT)診断装置などの製造と、ベンガルールにあるR&Dセンターの規模拡大に、今後5年間で800億ルピー(約1,440億円、1ルピー=約1.8円)を投資することを発表した。
PET-CT診断装置以外にも、他のCT診断装置や磁気共鳴(MR)乳房診断装置も製造し、世界15カ国に輸出する予定だ。米GEヘルスケアのピーター・アルドゥイニ社長兼最高経営責任者(CEO)は現地メディアに対し、「インド国内での製造が増えない理由は、地場の供給体制に起因する」として、「供給事業者のエコシステム構築に注力する」と発言した(「タイムズ・オブ・インディア」3月27日)。不測の事態で既存のサプライチェーンが断絶される可能性を見据え、部材の調達先と加工地の距離を短縮し、調達ルートも複数構築することが目的とみられる。同社はこれまで、100万ドル分の供給事業者の労働時間を創出してプラスチック、電子機器受託製造(EMS)、切削加工、鋳造、3次元(3D)プリントなど、医療機器の部材を製造する企業を促進してきたが、今回の投資によりさらに40万ドル分の供給事業者の労働時間創出に貢献する予定だ。
ウィプロGEヘルスケアのアジム・プレムジ社長は「GEヘルスケアにとってインドは潜在性と優先度が高い市場」として、「インドと世界の市場に向けて医療技術イノベーションと製造ハブとしてのインドの地位を向上させる」と意気込みを示した(「デカン・ヘラルド」3月27日)。同社は2024年1月、国内トップレベルの研究機関のインド理科大学院(IISc)と、ヘルスケア技術のイノベーション創出、研究技術開発に関する協力覚書を締結した。ベンガルールにあるR&Dセンターには、約1,800人のエンジニアや科学者が在籍して、GEヘルスケアの人工知能(AI)利用推進の一翼を担い、個人に応じた医療と精密医療に重点的に取り組んでいるという。
ウィプロGEヘルスケアは、インドのIT大手ウィプロの消費者ケア製品事業を手掛けるウィプロ・エンタープライゼズと米国のGEプレシジョン・ヘルスケアとの合弁会社で、R&Dセンターと4カ所の製造拠点をベンガルールに構えている。1990年からインドと南アジア諸国で製造・設計・販売を行っている。
(大野真奈)
(インド)
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