2023年の日本の対ASEAN直接投資は7.2%増の2.8兆円、収益は4.5兆円で過去最大

(ASEAN、タイ、シンガポール、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、日本)

バンコク発

2024年04月30日

日本銀行は4月8日、2023年の日本の対外直接投資統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。同年における日本の対ASEAN直接投資額(ネット、フロー)は、前年比7.2%増の2兆8,437億円となった(添付資料表参照)。日本の対外直接投資全体に占める構成比では、ASEANは11.0%と前年から横ばいだった。太宗を占める米国(37.2%)に比べて3分の1程度だが、中国(1.5%)の7.2倍の規模となった。

ASEAN各国別でみると、シンガポールは前年比10.5%増の7,776億円と最大の直接投資先になった。次いで、ベトナム向けが56.8%増の5,909億円と好調だった。タイが35.8%減の4,981億円で、インドネシアが25.3%増の4,191億円となった。

業種別でみると、ASEAN全体では非製造業への投資が67%を占めた。卸売・小売業は前年比2.9%増の6,439億円となった。シンガポール向けの投資が多かった。金融・保険業25.7%減の4,116億円だったが、ベトナムやタイ、フィリピンでそれぞれ1,000億円以上の投資を計上した。製造業では、電気機器が29.3%増の2,581億円と引き続き大きかった。タイ、マレーシアで1,000億円前後の投資があった。輸送機器は58.8%増の2,147億円と伸び、インドネシア向けが773億円と最大だった。

直接投資収益は21.9%増の4.5兆円に

2023年の日本の対ASEAN直接投資収益は、前年比21.9%増の4兆5,380億円だった。現行基準での統計が開始された2014年以降では最高額となった。ASEANは日本の対外直接投資収益全体の17.1%を占め、EU(14.5%)や中国(10.0%)を上回った。

ASEAN各国別でみると、収益源として大きかったのはシンガポール(前年比22.9%増、1兆5,327億円)とタイ(16.6%増、1兆4,339億円)の2カ国だ。両国に続いて、インドネシアが40.9%増の6,893億円、ベトナムが38.0%増の4,705億円という順だった。

業種別でみると、ASEAN全体では製造業、非製造業の収益がおおむね半々となっている。製造業では、輸送機器が12.5%増の7,972億円と大きかった。特にタイとインドネシアからの利益が大きい。非製造業では、卸売・小売業が43.8%増の1兆2,446億円、金融・保険業が16.9%増の6,797億円を計上した。

(北見創)

(ASEAN、タイ、シンガポール、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、日本)

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