EU首脳、ボスニア・ヘルツェゴビナのEU加盟交渉開始に合意

(EU、ボスニア・ヘルツェゴビナ)

ブリュッセル発

2024年04月02日

欧州理事会(EU首脳会議)が3月21~22日にブリュッセルで開催され、ウクライナ支援や安全保障・防衛、中東情勢、EU拡大・改革、移民政策、農業政策などに関する総括を採択した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

ウクライナ支援では、EU内で凍結されているロシア資産から生じる利益を、兵器調達を含めたウクライナ支援資金として活用する具体策を検討するよう記した。ジョセップ・ボレル・フォンテーリャス欧州委員会副委員長兼EU外務・安全保障政策上級代表が X(旧Twitter)で、ロシア資金の90%は欧州平和ファシリティー(EPF)、10%はEU予算を通じて配分する案を提出したことを明らかにした。2月1日の特別欧州理事会では、中期予算計画(多年度財政枠組み:MFF)の修正案について、ウクライナに対する500億ユーロの追加支援策、欧州防衛基金向けの15億ユーロが承認された(2024年2月6日記事参照)。しかし、現地報道によると、3月5日に発表された欧州防衛産業戦略PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を推進していく上でも、財源確保が課題になっている。

中東情勢に関しては、パレスチナ自治区ガザ地区の人道状況は壊滅的とし、キプロスが主導してガザへの緊急支援の海上ルートを設けた外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます重要性を強調。さらなる陸上輸送ルートの必要性も明記した。

EU拡大に関して、欧州理事会はボスニア・ヘルツェゴビナの正式な加盟交渉の開始を承認した。加盟基準の順守状況の報告を受けて決定することにしていたが(2023年12月21日記事参照)、司法分野、汚職対策、移民対策などで改革が見られたとする欧州委の3月12日の勧告PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を受けて承認した。欧州委に対しては、残りの改革が完了次第、EU理事会での採択を視野に入れた交渉枠組みの準備を始めるよう求めた。

2023年12月の欧州理事会で正式な加盟交渉の開始が承認されたウクライナ、モルドバに関しても、改革が見られたと評価。EU理事会に対し、欧州委作成の交渉枠組み案の採択に向けた準備を求めた。

(薮中愛子)

(EU、ボスニア・ヘルツェゴビナ)

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