山東省青島市で日中介護セミナー開催、日本の関連政策、取り組みPR

(中国、日本)

青島発

2024年04月03日

中国山東省の青島市民政局は3月26日、在青島日本総領事館との共催で、「日中介護セミナー」を開催した。同局は青島市で介護事業に携わる管理者や従業員などの業務能力と意識の向上を目的として、「青島市養老介護員技能研修班」を定期的に開催している。今回は日本関係機関との共催という形式で、中国関係機関の講師に加えて、日本企業や在中国日本大使館、ジェトロからも関係者が講師として登壇した。

午前の部では、中国側の弁護士、専門家らが養老施設経営の法律上のリスクの予防と対応、養老施設での消防安全に関する知識、中国の長期介護保険制度の発展動向と課題について講演を行った。そのうち、青島市養老服務協会の張志勤主任は長期介護保険について講演した。張主任によると、中国では現在、長期介護保険制度の試行都市が青島市を含めて49都市あり、保険適用対象として1億8,000万人をカバーし、保険金の累計支出は720億元(約1兆5,120億円、1元=約21円)を超えている。国家としては、全国統一の要介護認定基準とその認定・管理方法の策定、新しい介護関連職種の「長期介護師」の国家職業標準の策定、長期介護保険制度の管理規則、保険が適用される介護サービス項目と範囲などの業界標準策定などを通じて、長期介護保険制度の整備を進めているとの説明があった。

一方で、張主任は、資金調達ルートの不足や、一部地域での社会保険料の滞納・不納、地方政府に高まる財政圧力などの要因により、長期介護保険は財源不足の問題に直面していると指摘。そのため、保険の適用範囲が重度要介護高齢者だけに限られていることや、質の良い関連サービス・用品を提供できないといった課題があることも紹介した。

午後の部では、在中国日本大使館の福田夏樹一等書記官が日本側の介護保険制度などを含む養老介護政策や、地域での介護予防活動支援や認知症サポーター養成講座開催などの取り組み、介護分野の国際協力について講演を行った。また、日本で認知症ケアを手がけているメディカル・ケア・サービスの羽生田承子・中国エリアマネージャーは、認知症の類型や、発見・予防・対応法などについて説明した。ジェトロからは、青島市の養老介護関連事業者と日本との交流・連携促進を目的に、日本の高齢者産業の強みや、中国での導入実績、それらに関するジェトロの取り組み実績などを紹介した。

写真 日中介護セミナーの会場の様子(ジェトロ撮影)

日中介護セミナーの会場の様子(ジェトロ撮影)

(董玥涵)

(中国、日本)

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