スーダーニー・イラク首相、米国を訪問

(イラク、米国)

ドバイ発

2024年04月26日

イラクのムハンマド・シヤーウ​​・スーダーニー首相は4月14日から20日にかけて、首相就任後初めて米国を訪問し、米国のジョー・バイデン大統領と会談したほか、両国代表団による米イラク高等調整委員会(Higher Coordinating Committee)が開催された。

スーダーニー首相は15日に首都ワシントンでジョー・バイデン大統領と会談し、共同声明を発表。声明では「両首脳は、イラクと米国の永続的な戦略的パートナーシップへのコミットメントを再確認し、2008年の米イラク戦略枠組み協定(注)に基づく包括的な2国間協力のビジョンを議論した。大統領と首相は、地域の安定を促進し、イラクの主権、安定、安全を強化・尊重するために協力する重要性について合意した」としている。このほか、イラクのエネルギー自給自足に向けた取り組みや金融改革による汚職やマネーロンダリングの撲滅について話し合った。イラクの治安維持についても議論し、2国間安全保障パートナーシップの将来について協議するため、2024年後半に米イラク合同安全保障協力対話(JSCD)を開催する意向を確認した。

また、15日にはモハメド・タミーム副首相兼計画相率いるイラク政府代表団と、アントニー・ブリンケン国務長官率いる米国政府代表団による米イラク高等調整委員会も開催された。会合では2国間パートナーシップの重要性と地域の安全、繁栄におけるイラクの重要な役割が再確認されたほか、イラクの2030年までのエネルギー自給自足の達成に向けた米国企業による支援について話し合い、随伴ガスの回収と処理、電力への変換についてに覚書に署名した。また、金融改革と投資環境の改善、気候変動への対応と水資源管理、健康保険プログラムや病院管理、イラク人学生の留学に対する支援や文化遺産の保護とイラクの文化財の返還なども話し合った。

17日には米国商工会議所が主催するイラク政府代表団と米国の大手企業の代表者との会合が開催され、イラク電力省・石油省とゼネラルエレクトリック(GE)の油田・随伴ガス開発についての覚書など、イラク政府・イラク企業と米国企業との間で18の覚書の調印が行われた。

(注)米国とイラク間で2008年に締結された協定で、テロ対策、経済・エネルギー協力、環境問題、文化関係など幅広い分野での協力関係を定めている。

(太田尭久、オマール・アル・シャメリ)

(イラク、米国)

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