経済繁栄のための米州パートナーシップ参加国の会合開催、米国は米州各国との関係強化図る
(米国、バルバドス、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、メキシコ、パナマ、ペルー、ウルグアイ、アルゼンチン)
ニューヨーク発
2024年04月16日
米国国務省は4月12日、経済繁栄のための米州パートナーシップ(APEP)に参加する12カ国(注)の代表が前日の11日にパナマで会合を開催したと発表した。各国の代表者は、2023年11月の第1回APEP首脳級会合でのコミットメントの進展状況を確認したほか(2023年11月9日記事参照)、21世紀の経済的課題に直面する中、経済の競争力と統合の一層の強化、高水準の投資、全ての人に恩恵をもたらす包摂的で持続可能な繁栄の促進に合意した。
今回の会合は、国務省のAPEP担当高官のリサ・クビスケ元駐ホンジュラス大使とケビン・サリバン西半球局次官補代理が米国代表団を率いた。会合では、アントレプレナーシップ、デジタル労働力開発、クリーン水素、法の支配、持続可能な医療インフラ、持続可能な食料生産、水と基本的公衆衛生、宇宙の8つの初期作業部会の成果について議論した。また、APEPで議論されているアジェンダについて、各国の外相に対して今後数カ月のうちに報告する準備をした。今回の会合に先立つ3月18日には、APEP貿易担当相会合が行われている(2024年3月26日記事参照)。
米国は最近、米州地域との関係強化の取り組みを活発化させている。マリサ・ラーゴ商務次官(国際通商担当)は4月8~11日、気候変動対策と地域の包摂的な経済成長と繁栄の促進、医療と技術分野の商業協力の推進を目的に、アルゼンチンとウルグアイを訪問した。9日に行われたラーゴ次官とアルゼンチンのディアナ・エレナ・モンディーノ外務・通商・宗教相との会談では、アルゼンチンがAPEPへの参加意欲を示した。2023年11月のAPEP首脳級会合では、米州地域の国によるAPEPへの新規加入プロセスを策定することも決めていたが、米国政府高官によると、新規参加プロセスの確立にどれだけの時間がかかるかはいまだ不透明だという(通商専門誌「インサイドUSトレード」4月12日)。また、米国商務省と国務省は11日に、ウルグアイの外務省と工業エネルギー鉱業省との間で、「特定の重要技術と新興技術に関する協力の米国・ウルグアイ覚書(MOU)」に署名した。同MOUの下で両国は半導体、人工知能(AI)、データ流通、クリーンエネルギー、電気通信、サイバーセキュリティー、バイオテクノロジーの分野の協力強化に焦点を当てる2国間ワーキンググループ(BWG)を発足させる。
さらに、国務省は11日、コスタリカとのデジタル経済協力強化に関する共同声明を発表した。進化するデジタル環境に対応するため、コスタリカで、オープンで相互運用でき、信頼性が高く、安全なデジタルインフラを育成する。コスタリカには3月末に商務省のジーナ・レモンド長官が訪問しており、半導体分野での連携強化も発表していた(2024年3月26日記事参照)。
(注)APEPは、米国を含む米州12カ国が税関手続きや貿易円滑化などの地域的競争力、サプライチェーンの持続可能性などの強靭(きょうじん)性、労働力開発などの繁栄の共有、民間投資の誘致など包摂的で持続可能な投資を行う経済枠組みで、2023年1月に正式に発足した(2023年1月30日記事参照)。現在の参加国は、米国、バルバドス、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、メキシコ、パナマ、ペルー、ウルグアイ。
(赤平大寿)
(米国、バルバドス、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、メキシコ、パナマ、ペルー、ウルグアイ、アルゼンチン)
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