ブリンケン米国務長官とネタニヤフ首相、人質解放交渉やラファ地上作戦など協議

(イスラエル、米国、パレスチナ、サウジアラビア、エジプト)

テルアビブ発

2024年03月25日

米国のアントニー・ブリンケン国務長官は3月20~22日に中東諸国を歴訪した。ブリンケン長官の中東歴訪は、2023年10月7日のハマスによるイスラエルへの攻撃(2023年10月10日記事参照)以来6度目となり、パレスチナ自治区ガザ地区で拘束されている人質解放交渉や、ガザ地区での人道支援の拡大などを目的に、サウジアラビア、エジプト、イスラエルを訪問し、協議を行った。

ブリンケン長官は3月22日にイスラエルのテルアビブで、ベンヤミン・ネタニヤフ首相やアイザック・ヘルツォーク大統領らと会談した。

米国務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ブリンケン長官はネタニヤフ首相との会談で、イスラエルの安全保障に関する米国の関与を再確認するとともに、人質の解放を確保し、人道支援の急増を可能にする、最低6週間の停戦合意に向けた取り組みについて述べた。さらに、ガザ地区の民間人を保護し、陸路と海路の両方を含む人道支援を増加させ、維持する必要性を強調した。ブリンケン長官はまた、サウジアラビアとエジプトで行った、イスラエル人とパレスチナ人、さらに中東地域の永続的な平和と安全を達成するための努力に関する協議について、イスラエルの戦争内閣に説明した。

ブリンケン長官は会談後の記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、米国はハマスの打倒や、イスラエルの長期的な安全保障の確保というイスラエルの目標を共有しているが、「ラファでの大規模な地上作戦はそのための方策ではない」とし、「(ラファでの大規模地上作戦は)より多くの市民を犠牲にし、人道支援の提供に大混乱をもたらし、イスラエルを世界的に孤立させ、長期的な安全保障と地位を損なうリスクがある」と指摘した。

ネタニヤフ首相は3月22日に公表した声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「私はブリンケン長官に、5カ月以上にわたってハマスとの戦いに共に立ち向かってきたことを大変感謝していると伝えた。また、われわれは戦闘地域から民間人を避難させる必要性を認識しており、人道的ニーズにも目を配って、そのために取り組んでいることも伝えた」と述べた。ラファへの侵攻については、「ラファに侵攻し、そこにいる大隊の残党を排除しない限り、ハマスに勝つ方法はないとも伝えた。われわれは米国の支援でこれを実行することを望むが、必要であれば単独で実行すると伝えた」とした。

なお、米国のジョー・バイデン大統領とネタニヤフ首相は3月18日の電話会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、両国のチームがワシントンで、ラファでの大規模な地上作戦の代替案を協議することに合意しており、「ワシントン・ポスト」紙電子版(3月24日)によると、イスラエルのロン・デルメル戦略問題担当相とツァヒ・ハネグビ国家安全保障評議会(NSC)議長兼国家安全保証顧問が渡米するとした。また、ヨアフ・ギャラント国防相はロイド・オースティン米国防長官やブリンケン国務長官らと会談を行うために3月24日に渡米した。

イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。

(中溝丘)

(イスラエル、米国、パレスチナ、サウジアラビア、エジプト)

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