2023年GDPは0.2%のプラス成長、景気後退を回避

(チリ)

サンティアゴ発

2024年03月25日

チリ中央銀行の発表(3月18日)によると、2023年の実質GDP成長率は前年比0.2%のプラス成長となった。

GDP成長率を需要項目別にみると、内需は前年比マイナス4.2%だった(添付資料表1参照)。これは主に民間消費縮小の影響を受けたもので、衣類や食品などの非耐久消費財や自動車などの耐久消費財への支出が減少した。一方で、交通サービスやレストラン、ホテルなどのサービスへの支出は増加した。

政府消費は、教育や医療サービスへの支出拡大に伴い、1.7%増加した。設備投資では、自動車や電気・電子機器の購入が減少した。

財・サービスの輸出入では、輸出が前年比マイナス0.3%、輸入が同マイナス12.0%を記録した。輸出は主に銅や木材製品、輸入は特に自動車や燃料といった品目が減少した。

経済活動別にみると、寄与率が高かったのは電気・ガス・水道(寄与率:44.0%)で(添付資料表2参照)、水力、太陽光、風力などの再生可能エネルギーによる発電が主に増加した。

鉱業は、銅の生産量減少が影響し、全体ではマイナス0.3%となった。農業では、悪天候によってサクランボやブルーベリーなどの生産量が減少し、マイナス1.8%だった。水産業は6.3%増加し、サケ養殖の収穫量やイワシ、アジの水揚げ量の増加などが影響している。商業はマイナス3.5%で、特にスーパーマーケットや大型店での売り上げ減少が目立った。

マリオ・マルセル財務相は2023年GDP成長率の発表を受け、「この1年、多くの社説やコラム、記事で景気後退が叫ばれてきたが、2023年には景気後退がなかったことをようやく確認できた。チリ経済の実際の状況を示すポジティブな数字だ」とコメントした。

なお、国民経済計算の公表と改定の方針に従い、2021年、2022年の実質GDP成長率がそれぞれ11.3%と2.1%に下方修正された。

2024年の実質GDP成長率については、中銀が1.25~2.25%と見込む一方、政府はより楽観的で2.5%、世界銀行は1.8%、IMFは1.6%と予想している。

(大塚優希)

(チリ)

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