予測集計、2024年経済成長率は前回から上振れ

(シンガポール)

シンガポール発

2024年03月19日

シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は3月13日、民間のエコノミストとアナリストが回答したフォーキャスターズ調査(Survey of Professional Forecasters)の結果を発表した(調査開始:2月15日、回答数:23人)。それによると、2024年のシンガポールの実質GDP成長率(経済成長率)予測の中央値は2.4%と、前回調査(2023年12月発表、2023年12月14日記事参照)の2.3%から上方修正された。

経済活動別では、「製造業」(前回:2.3%→今回:4.0%)、「金融・保険業」(2.5%→3.4%)、「建設業」(4.7%→4.9%)は前回調査から上方修正された。他方で、「卸売・小売業」(1.9%→1.8%)と「宿泊・飲食サービス業」(3.6%→2.2%)は前回調査から下振れになった。

その他の主要経済指標については、消費者物価指数(CPI、総合)上昇率の中央値は3.1%と、前回調査(3.4%)から下方修正された。MASが政策判断で重視するMASコアインフレーション〔CPI(総合)から住宅関連費と自家用道路交通関連費を除いた指数〕の上昇率の中央値は3.0%で、前回調査から横ばいだった。

2025年の予測値(中央値)は、実質GDP成長率が2.5%、CPIとMASコアインフレーションの上昇率はそれぞれ2.0%だった。

シンガポール経済に対する下振れリスクについては、「海外経済の成長減速」と「地政学的緊張」との回答がいずれも50.0%と最も高かった。「インフレーション圧力」と「中国(の成長減速)」(いずれも37.5%)が続いた。下振れの最大リスクとしては「海外経済の成長減速」と回答した割合が28.6%と最も高かった。

上振れリスクについては、「(予測を上回る)海外経済の成長」を挙げた割合(71.4%)が最も高かった。上位3つにはそのほか、「〔人工知能(AI)関連の成長といった〕テックサイクル(の予想より早い回復)」(57.1%)と「中国(のより力強い成長)」(50.0%)が挙がった。これらのうち、上振れの最大のリスクとしては「テックサイクル」を挙げる割合が42.9%と最も高かった。

(朝倉啓介)

(シンガポール)

ビジネス短信 869b47f9e75791ee