配達員などの労働条件を具体化、労働者権益の保障強化

(中国)

北京発

2024年03月05日

中国の人力資源社会保障部は2月23日、「新しい就業形態における労働者の休息と労働報酬の権益保障に関するガイドライン」「新しい就業形態における労働者の労働規則公布に関するガイドライン」「新しい就業形態における労働者の権益保護サービスに関するガイドライン」(人社庁発[2023]50号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。EC、デリバリーサービスなどの配達員やライドシェアの運転手、家事代行サービス労働者などの賃金支払いや休暇、労働争議などの課題に対し、具体的な指導を行っている。

同ガイドラインで定義する新しい就業形態における労働者(以下、労働者)とは、インターネットプラットフォームで発注された配達や運転、貨物輸送、家事代行サービスなどの仕事を引き受け、プラットフォームの要求に従ってサービスを提供し、労働報酬を取得する者を指す。

具体的な内容としては、労働時間について、企業と労働組合、または労働者の代表は法律法規や業界の管理規定に基づき、業界の特徴と企業の実情を踏まえ、対等な立場で協議し、労働者の最大連続受注時間や1日の最長労働時間を合理的に決定しなければならないと明記している。また、労働者が連続受注時間の上限、1日の労働時間の上限に達した場合、プラットフォームのシステムは労働者に休息を促し、一定時間受注を停止すべきとした。

労働報酬の計算と支払いについて、企業は法定休日に労働を行った労働者に対し、通常の労働時間の報酬よりも高い報酬を支払うべきで、労働報酬は貨幣形式で全額、期限内に支払わなければならないことなどを盛り込んだ。

また、労働関係確立の条件を満たす労働者の休息や最低賃金は「中華人民共和国労働法」「最低賃金条例」などの法律法規を基準として実施されるとした。

中国新就労形態研究センターの張成剛主任は今回発表の3つの文書について、「労働権益の観点からみると、労働者とプラットフォーム企業との権利・義務関係の明確化に役立ち、プラットフォーム企業による就業規則策定の手引きとなる。一方、労働者にとっては、労働争議に関する裁定基準となる。労働者とプラットフォーム企業双方にとって、より調和のとれた雇用関係の形成に役立つだろう」との見方を示した(「経済日報」2月26日)。

(趙薇)

(中国)

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