中国の王毅外相、ウクライナ危機について立場表明

(中国、ウクライナ)

北京発

2024年02月28日

中国外交トップの王毅・共産党中央政治局委員兼外交部長(外相)は2月17日(現地時間)、ドイツで開催されたミュンヘン安全保障会議に出席し演説を行った。

演説後、「ブダペスト覚書」(注)に対する見方やウクライナ危機についての中国の立場を問われた王外相は、中国の核政策について言及した上で、ウクライナ危機の発生後に、習近平国家主席が、核兵器は使用されるべきではなく、核戦争は起こすべきではなく、核原料物質と核施設の安全を維持するために関係国が協力するべきだと指摘したと述べた。

また、王外相は「中国はウクライナ危機を引き起こした者ではないし、当事者でもない。とはいえ、中国はウクライナ危機をただ対岸の火事として見守っていたわけではなく、ましてこの状況を利用して利益を得ようとしているわけでもない」と強調した。その上で、ウクライナ危機に対する中国の姿勢は、習国家主席が指摘するように、各国の主権と領土保全を尊重すること、国連憲章の目的と原則を順守すること、各国の安全保障上の合理的な懸念を重んじること、危機の平和的解決に資するあらゆる努力を支持することだとした。この立場を踏まえ、中国は和平交渉の推進に粘り強く取り組み、平和の回復に積極的な役割を果たしていると主張した。

また、王外相は同日、ウクライナのドミトロ・クレバ外相と会談を行った。同会談において、王外相はウクライナ問題に対する中国の原則的立場を説明し、中国は懸案問題の政治的解決を堅持し、対話と和平を促進すると主張した。その上で、中国はウクライナ危機に対して、火に油をそそがず、同危機を利益を得る機会として利用せず、また、紛争地域や紛争当事者に対して殺傷力のある武器を販売しないと強調した。また、中国は一日も早く戦争を終結させ、平和を回復するために、建設的な役割を果たし続けるとした。

(注)ブダペスト覚書は1994年12月、米国・英国・ロシアの核保有国が署名した、核拡散防止条約(NPT)に加盟したウクライナなどの国々の核兵器放棄と安全保障に関する覚書。ウクライナなどNPTの加盟国に対し、主権や国境を尊重する、核兵器を使用しないなどの内容が盛り込まれた。

(張敏)

(中国、ウクライナ)

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