国連事務総長はUNRWA活動継続保証を訴え、資金拠出一時停止が18カ国・地域に拡大

(イスラエル、パレスチナ、世界)

テルアビブ発

2024年02月02日

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は1月31日、パレスチナ人民の固有の権利行使に関する委員会の2024年会期開会にあたり発言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

グテーレス事務総長は「1,200人以上のイスラエル人やその他の人々の命を奪ったハマスとその他のグループによる恐ろしい襲撃をあらためて非難し、全ての人質の即時かつ無条件の解放を求める」と同時に、「ガザの人々に対する集団的懲罰を正当化することはできない」と指摘した。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員が、2023年10月7日のハマスによるイスラエルへの攻撃(2023年10月10日記事参照)に関与したとの疑惑を受けて、「国連は直ちに行動を起こした」と述べた上で、「UNRWAはガザにおける全ての人道的対応の支柱だ」とし、全ての加盟国に対し、UNRWAの活動の継続を保証するよう訴えた。

NPOのUNウォッチ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2024年1月30日現在でUNRWAへの資金拠出の一時停止を決定したのは、拠出額の多い順に、米国、ドイツ、EU、スウェーデン、日本、フランス、スイス、カナダ、英国、オランダ、オーストラリア、イタリア、オーストリア、フィンランド、ニュージーランド、アイスランド、ルーマニア、エストニアの18カ国・地域に拡大している。

国連安全保障理事会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは1月31日、国際司法裁判所(ICJ)がイスラエルに集団殺害防止の暫定措置を命令(2024年1月29日記事参照)したことについて審議を行った。パレスチナ自治政府のリヤド・マンスール国連常駐オブザーバーは「ICJの暫定判決は、イスラエルに対するジェノサイドの訴えは実利がなく、根拠がないと主張する人々に明確な反撃を与えた」と指摘した。一方、UNRWAの一部職員に対する疑惑については、「深刻な疑惑であり、本格的な調査が行われている」と述べた。

イスラエルのブレット・ジョナサン・ミラー国連常任副代表は、「被害者である国が再び冤罪(えんざい)に直面している。ハマスとは対照的に、イスラエルは法を順守し、人道性を示すことに尽力している。一方、ハマスが法をないがしろにすることは、決して議論の対象にならない」と非難した。また、各国がUNRWAへの資金拠出を停止する決定を下したことを歓迎し、完全な調査を求める声に同意した。

イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。

(中溝丘)

(イスラエル、パレスチナ、世界)

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