ルーマニアで日本産水産物とアニメコンテンツを発信、新流通ルート構築に関心
(ルーマニア、日本)
ブカレスト発
2024年02月05日
ジェトロは1月31日、ルーマニアの首都ブカレスト市内で日本産水産物とアニメコンテンツのプロモーションイベントを開催し(注)、水産物流通業者、レストラン関係者のほか、映画配給会社、出版社、書店関係者など70人が参加した。
イベントの冒頭であいさつした駐ルーマニア日本大使の片江学巳氏は「日本のアニメは広く世界で認知され、生身の自分より日本のプロモーションをしてくれたこともある」と語った。また、日本のコンサルティング会社ルーディムスの古里卓巳最高執行責任者(COO)は日本漫画のジャンルの幅広さに触れ、グルメを題材にするなどユニークな発想が人気の要因だと紹介した。
ルーマニアの漫画研究家アリス・テオドレスク氏は「国内で入手可能な漫画タイトルは増え、日本映画祭も定着してきた。昨年ルーマニアで配信されたある日本アニメ映画は、全国42都市、74映画館で上映され、興行収入ランキング3位と好調だった」とアニメ市場の動向を伝えた。
ブカレストの出版社ネミラ編集長のマリアン・コマン氏は「これまで海外小説の翻訳を手掛けてきたが、米国や西欧のトレンドをみて日本の漫画に商機を見いだした。2023年9月に国内初となるルーマニア語版の漫画『進撃の巨人』(講談社)の販売を開始した」と紹介した。
会場では、日本産ホタテとハマチのにぎり寿司(ずし)の実演も行われ、ルーマニアに8店舗展開する高級レストラン「ゼン・寿司(ZenSushi)」のシェフ、ソリン・ザハリア氏が実演した。ザハリア氏は、日本農林水産省などが、外国籍のすし職人を対象に1月19、20日に豊洲市場で開催した「WORLD SUSHI CUP (R) JAPAN 2023」で総合3位、創作寿司オープンコンペティション部門1位を獲得した実力の持ち主だ。試食後、参加者からは「ホタテを加熱料理でなく生で食べるのは珍しい。食感と旨味(うまみ)が引き立ち、より深い味わいを感じた」などの感想が聞かれた。
ルーマニアでは、日本産品の仕入れに西欧の仲介業者を経由するケースが多い。参加した書籍関係者は「西欧の中間業者を通さない仕入れルートを探している」と明かし、水産業者は「日本産水産物は西欧経由で価格が高くなるため、欧州産で代替せざるを得ない」と述べるなど、今後の課題として新たな流通経路の構築に関心が寄せられた。
(注)ルーマニア・アメリカ大学との共催、在ルーマニア日本大使館が後援。
(高崎早和香)
(ルーマニア、日本)
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