オーストラリア・ニュージーランドCPI上昇率、1%台下回る低水準に

(オーストラリア、ニュージーランド)

シドニー発

2024年02月13日

オーストラリア統計局(ABS)は1月31日、2023年第4四半期(10~12月)の消費者物価指数(CPI)の上昇率が前期比で0.6%と発表した。CPI上昇率が0.6%台になったのは2021年第1四半期(1~3月)以来で、約2年9カ月ぶりの低水準となった。前年同期比では4.1%となったが、2022年第4四半期の7.8%をピークに、4四半期連続で下落した。

項目別にみると、前期の2023年第3四半期(7~9月)の伸びを上回ったのは、アルコール・たばこ(2.8%)、保険・金融サービス(1.7%)などにとどまった。保険・金融サービスでは、山火事や洪水の発生による住宅関連保険や、自動車保険の保険料高騰により、「過去12カ月で保険料は16.2%上昇、2001年3月以来の高い伸び率」(統計局)となった。一方、住宅(2.2%→1.0%)や通信(2.1%→0.4%)は前期の伸びを大きく下回り、運輸は前期の3.2%からマイナス0.2%に下落した。住宅のうち、新築住宅価格(前期比1.5%)は人件費と資材費の高騰により前期(1.3%)を上回ったが、家賃は前期の2.2%から0.9%に低下した。連邦政府による家賃補助制度「コモンウェルス・レント・アシスタンス(CRA)」(注)の補助率が2023年9月から引き上げられたためだ。ただ、同補助率引き上げの影響を除いた場合は、前期を上回る2.5%だったことから、政府の政策が家賃の上昇に歯止めをかけたかたちだ。食品・非アルコール飲料(0.5%)、医療(0.6%)なども前期より上昇率が低下、教育(マイナス0.1%)は3期連続で前期比マイナスとなった。

一方で、肉・魚、果物・野菜は価格が下落し、CPIはマイナスとなった(ともに前期比1.2%減)。特に供給の増加により、羊肉・ヤギ肉(12.1%減)、牛肉・子牛肉(1.5%減)が大きく下落した。

ジム・チャルマーズ財務相は、2023年第4四半期のインフレ率が2年9カ月ぶりの低水準となったことについて、歓迎すべきだが、依然として国民はインフレ圧力にさらされており、生活コストの負担軽減とインフレ抑制は政府の最重要課題と述べた(1月31日付プレスリリース)。

ニュージーランドのインフレ率も3年ぶりの低水準

ニュージーランド統計局は1月24日、2023年第4四半期のCPI上昇率が前期比0.5%と発表した。CPI上昇率がO.5%台となるのは2020年第4四半期以来で、3年ぶりの低水準となった。電気、ガス、家賃の上昇により、住宅・水道光熱費(0.8%)、保険料(1.5%)が上昇したが、食品は、南半球が夏の季節で果実や野菜価格の下落が影響し、CPI上昇率はマイナスとなった(同1.2%減)。

(注)連邦政府により、年金受給世帯、介護給付受給世帯など特定の社会給付を受ける世帯に家賃を補助する制度。

(青島春枝)

(オーストラリア、ニュージーランド)

ビジネス短信 5ae1e402a8939bd7