武田薬品、デング熱ワクチンの生産拡大でインド企業と協業
(インド、日本)
ベンガルール発
2024年02月29日
武田薬品工業は2月27日、デング熱ワクチン「キューデンガ(QDENGA)」の生産拡大のため、インドの大手ワクチン・医薬品製造バイオロジカルEと協業することを発表した。インド南部テランガナ州ハイデラバードで2月26~28日に開催されたライフサイエンスとヘルスケアの国際会議「バイオアジア(BioAsia)2024」の開会式で公表した。今後、バイオロジカルEが年間最大5,000万回接種分のワクチンを製造することで、武田のワクチン供給能力は2030年までに年間1億回接種分に増加する。
同ワクチンは現在、欧州、インドネシア、タイ、アルゼンチン、ブラジルなどで承認されているが、価格と生産量などが障壁となり、民間市場を通した接種がほとんどで、公共接種は限定的にとどまる。今回の協業を通じ、インドで価格を抑えたワクチンの大量生産が実現すれば、まん延国・地域で公共接種を中心としたワクチン提供の拡大が見込まれ、世界のデング熱対策に大きく貢献することになる。
テランガナ州には800社以上の製薬、バイオテクノロジー企業が集積しており、世界のワクチンの3分の1以上、インドの医薬品の40%以上が同州で生産されるなど、インド随一のライフサイエンス地域として成長し続けている。州が主催するバイオアジアは例年、50カ国以上から約2,000人が参加するアジア最大級のライフサイエンスとヘルスケアの会議で、2024年で21回目の開催となった。開会式には、レバンス・レディ州首相らが参加し、同州のライフサイエンスクラスター「ゲノムバレー」拡張に約200億ルピー(約360億円、1ルピー=約1.8円)を追加投資する計画などが発表された。
(夏見祐奈)
(インド、日本)
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