サイード大統領、空席だった3閣僚を任命

(チュニジア)

パリ発

2024年01月31日

チュニジアのカイス・サイード大統領は1月24日、内閣の一部改造を実施し、しばらく空席となっていた経済計画省、産業・鉱山・エネルギー省、雇用・職業訓練省の3大臣と担当大臣3人を任命した。

経済計画相は2023年10月にサミール・サイード氏が解任されて以来、シヘム・ブグディリ=ネムシア財政相が兼任していた。今回任命されたフェリエル・ウエルギ・セバイ氏は、金融危機や為替政策などに関する著書がある経済学者で、チュニスの大学などで教鞭(きょうべん)をとる。産業・鉱山・エネルギー相は2023年5月のネイラ・ゴンジ氏の解任後、空席となっていた。新任のファトマ・タベット=シブーブ氏は、産業省、財政省などで多くの役職を歴任し、現在はビゼルタ経済活動特別区のCEOを務める。2023年2月のナスレディン・ヌシビ氏の解任以来同じく空席となっていた雇用・商業訓練相には、同省の重要な役職を歴任してきたロトフィ・ジアブ氏が任命された。

チュニジアは2024年の債務不履行(デフォルト)の危機が懸念される中、海外からの融資を呼び込む要となるIMFによる19億ユーロの新規融資に関する交渉再開が急務となっている。今回の経済計画相の任命により、同省の空白状態を解消し、今後のIMF交渉再開に向けた後押しとなることが期待される。また、「EUとチュニジア間の戦略的かつ包括的なパートナーシップに関する覚書」(2023年7月20日記事参照)の柱として、両者間のグリーンエネルギー移行への努力があげられ、チュニジアは再生可能エネルギー開発、水資源保護の必要性を考慮しながら、国内と国際需要に応えるグリーン水素およびアンモニアを含むその派生製品の生産強化などのコミットメントが求められており、新任産業・鉱山・エネルギー相によるイニシアティブが期待される。

(渡辺智子)

(チュニジア)

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