11月のGDP成長率は前年同月比4.4%、8カ月連続のプラス成長を記録

(ロシア)

調査部欧州課

2024年01月25日

ロシア経済発展省の発表(2023年12月27日)によると、2023年11月の実質GDP成長率(推計値)は前年同月比4.4%(前月伸び率より0.7ポイント低下)だった(添付資料表参照)。小売りの回復、ウクライナ侵攻後に急減した製造業の反動増の影響が続き、4月から8カ月連続のプラス成長を記録した。

11月の鉱工業生産は前年同月比4.3%増だった。鉱業の伸び率は前月から0.3ポイント低下の0.4%減だった。このうち、石炭採掘が4.0%減(前月より6.2ポイント低下)、金属資源採掘が0.9%減(前月より0.4ポイント低下)、その他の資源採掘26.6%増(前月より42.3ポイント上昇)、鉱業分野のサービスが0.8%減(前月より7.1ポイント低下)だった。

製造業の伸び率は前月から1.4ポイント低下の8.1%増だった。機械製造業が自動車、コンピュータ・電子機器の回復を背景に28.8%増(前月より0.6ポイント上昇)、冶金(やきん)・金属加工業が5.7%増(前月より3.7ポイント低下)、化学品製造業13.8%増(前月より1.2ポイント低下)となったことが製造業全体の伸びに寄与した。

連邦国家統計局によると、11月の乗用車生産台数は前年同月比2.7倍の6万4,200台だった。1~11月では前年同期比17.5%増の48万1,600台となった。自動車調査会社アフトスタト(12月5日)によると、11月の乗用車新車販売台数は前年同月比2.13倍の10万9,706台だった。1~11月では前年同期比64.9%増の93万9,254台となった。

農業は前月より29.4ポイント低下の23.9%減となった。高等経済学院(HSE)市場調査センター所長のゲオルギー・オスタプコビッチ氏は、農業生産が減少した原因を説明するのは難しいとしたうえで、穀物収穫量の減少に関連している可能性があるとの見方を述べた(アグロインベストル12月28日)。

建設業は前年同月比4.8%増(前月より1.6ポイント上昇)とプラスで推移している。貨物輸送は0.6%増(前月より2.3ポイント低下)だった。

労働市場は安定しており、11月の失業率は2.9%だった。10月の実質賃金は前年同月比9.9%増だった。

小売商品売上高は前年同月比10.5%増(前月より2.2ポイント低下)だった。

マクシム・レシェトニコフ経済発展相は2023年のGDP成長率について、経済の成長速度を考慮すると4.0%になる可能性があると説明した(インターファクス通信2024年1月15日)。

ロシアの公式GDP統計は、四半期別と年別について連邦国家統計局が、推計値として月次の成長率は経済発展省がそれぞれ発表している。

(小野塚信)

(ロシア)

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