自由アルゼンチン再建債シリーズ1の第1回入札、政府の期待下回る

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2024年01月09日

アルゼンチン中央銀行は12月28日、中央銀行債「自由アルゼンチン再建債(BOPREAL)」シリーズ1(注)の第1回入札結果を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによると、6,800万ドルの額面で34件の入札があり、全て落札された。

BOPREALは、12月12日以前に通関された財、提供されたサービスの未払い輸入代金を抱える輸入者のみが購入できる。外貨準備高が枯渇している状況を受け、12月13日付の中銀通達A7917PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、12月12日以前の未払い輸入代金の支払いには中銀の事前承認が必要としている。輸入者に対して、外貨ではなく債券を渡すことで支払期日を後ろ倒しにしつつ、経済改革により外貨を積み増す狙いがあるとみられる。

12月28日付の現地紙「アンビト」(電子版)によると、7億5,000万ドルの募集に対して、10%にも満たない6,800万ドルの入札にとどまり、結果は政府の予想を大きく下回ったものだったという。中銀によると、シリーズ1の発行額は50億ドルを上限としている。こうした状況を受けて、中銀は同日に中銀通達A7935PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公布し、BOPREAL購入のインセンティブを強化した。具体的には、未払い輸入代金残高の50%以上の額面のBOPREALを購入した場合、2024年2月1日以降に債券購入額の5%相当額まで外貨へアクセスし、未払い輸入代金を支払うことを認める措置を導入し、同インセンティブの適用対象となるBOPREALの購入期限を12月31日から1月31日まで延長した。

加えて、年が明けた1月2日にはBOPREAL購入の手引きPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表した。これによると、外国為替市場でドルを購入して送金する電子決済市場取引(MEP取引)と呼ばれる債券取引を通じて、国内でドルを取得して送金するといった方法では、現在、12月12日以前の未払い輸入代金の支払いは不可能としている。一方で、輸入者が国外に保有するドルで支払う、入札を通じて取得したBOPREALを国外の流通市場で売却して得た外貨で支払う、輸出者が合意する場合はBOPREALを輸出者に譲渡することで支払いに代えることができるとしている。

(注)シリーズ1は12月26日に入札を開始した。満期は2027年10月31日で、利息は年率5%。2回の分割償還日を設け、50%が償還される途中償還日は2027年4月30日。償還はドルで行われるが、期限前に償還する場合は、公式為替レート換算のペソで償還される。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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